海外駐在員に迫る過激派テロの影 「欧米関連施設には近づくな」 日本企業は今こそ危機管理教育を徹底すべきだ
海外に展開するモビリティ企業は、駐在員や出張者の安全をどう確保していくべきなのか。今日の世界的なテロ情勢を見ていく。
危機管理教育の徹底を

さらに、2022年の大みそか、ニューヨークで開かれていた年越しイベントの会場近くで19歳の男が警察官3人を切りつける事件があったが、この男は犯行時、アラビア語で神は偉大なりを意味する「アラー・アクバル」と叫び、以前からイスラム過激思想に傾斜し、アフガニスタンで実権を再び握ったイスラム主義勢力タリバンに加わろうとしていたという。欧米諸国ではこういったイスラム過激思想の影響を受けた個人による一匹狼的なテロ事件は減少傾向にあるが、依然として続いている。
こうしたイスラム過激派、イスラム過激思想の影響を受ける個人によるテロにおいて、日本人が直接の標的というわけではないが、先述の事件のように日本人が巻き込まれるリスクは十分にあり、海外に展開するモビリティ企業としては、テロから社員を守るとの意識を、引き続き強く持つ必要がある。
近年、サプライチェーンや経済安全保障が叫ばれ、企業の関心が「モノの安全」に移り、「ヒトの安全」への関心が薄まっているようにも感じられる。しかし、こういったイスラム過激派の脅威が存在する国々に社員を派遣する場合、例えば、現地国の政府機関や軍警察機関、欧米大使館やキリスト教施設などには近づかない、長居しないなど、社員に対する危機管理教育を徹底する必要があろう。