トヨタ・マツダはロシア撤退 ホンダは台中懸念でサプライチェーン再編、自動車企業を取り巻く終わりなき地政学リスク

キーワード :
, , ,
企業が直面した2022年の2大地政学リスクを挙げるならば、ロシアによるウクライナ侵攻と、有事を巡る台湾情勢だろう。この一年を振り返ってみる。

ロシアからの撤退、相次ぐ

ロシア軍に破壊された学校の前を歩くウクライナの子ども。2022年3月23日撮影(画像:AFP=時事)
ロシア軍に破壊された学校の前を歩くウクライナの子ども。2022年3月23日撮影(画像:AFP=時事)

 人によって見解が異なるかもしれないが、企業が直面した2022年の2大地政学リスクを挙げるならば、ロシアによるウクライナ侵攻と、有事を巡る台湾情勢だろう。

 2022年、日本企業はウクライナ侵攻によって、リスク回避を目的とする行動をさまざまな形で余儀なくされた。例えば侵攻直後、欧米諸国とロシアの対立が一気に悪化したことで、ロンドンやパリ、フランクフルトなど欧州各都市と日本を結ぶフライトは、最もショートカットとなるロシア上空を飛行できなくなり、中央アジア上空など迂回(うかい)ルートを飛ぶことになった。通常12~13時間程度で結ぶところを、3時間から4時間ほど長い飛行が必要になったのだ。飛行時間が長くなれば、必然的に燃料費の負担は増し、航空業界は大きな影響を受けることになった。

 侵攻に伴い、日本企業の間でも、ロシアからの撤退や事業規模縮小といった動きが加速した。日本貿易振興機構(JETRO)が3月末に発表した企業統計によると、半年後から1年後の見通しとして、「ロシアから撤退する」と回答した企業が6%(ロシアに進出する企業211社のうち回答した97社が対象)存在し、「縮小する」が38%、「分からない」が29%、「現状維持」が25%、「拡大する」が2%と、半数近くの企業がロシア離れの動きを示した。

 また、JETROが9月に発表した企業統計で、日系企業駐在員のロシアからの退避状況(回答企業は107社)を見ると、8月末時点で「全員残留」と回答した企業が23社(21.5%)だった一方、「全員退避」と回答した企業が65社(60.7%)となり、駐在員の退避も増えていることが明らかとなった。

 そして、9月に入り、プーチン大統領が予備役の部分的動員や、ウクライナ東部と南部の4州の一方的併合を実施し、核兵器使用の懸念が広がったことで、日本企業の脱ロシアの動きに、さらに拍車が掛かった。その後、日本の大手自動車メーカーであるトヨタ、マツダ、日産が、ロシアからの事業撤退を相次いで表明した。3社はロシアでの操業を停止する措置を継続してきたが、従来のような環境でビジネスを再び展開することが難しいとの判断に至ったようだ。

 当然ながら、ウクライナ侵攻があっても脱ロシアの動きを示していない企業も多くあるが、来年も現在のような状況が続くとみられ、ロシア事業から撤退する日本企業の数が増えるかもしれない。

全てのコメントを見る