意外と知らない? 世界的半導体メーカーが「熊本」にわざわざ上陸する理由
台湾の世界的半導体メーカー・TSMCの進出で、九州・熊本が盛り上がっている。その背景を解説する。
懸念される半導体の台湾依存

ここで台湾のTSMCが半導体業界でどのような立ち位置にあるのかを見てみよう。
従来、半導体は設計から製造まで一貫して行うのがスタンダードだった。ところが現在は設計企業と製造企業とに分かれている。
製造専業の世界最大手であるTSMCは、業界で60%のシェアを占める。技術力・生産力ともに突出している同社には、最先端の半導体製造が集中するようになった。そうした状況にあって、台湾の地政学的リスクは半導体業界にとって無視できないものとなっている。
懸念されているのは中国との関係だ。武力衝突は考えにくいが、油断は禁物である。台湾と中国の関係は、歴代政権の方針で大きく変わってきた。中国は実力を行使して香港の民主化運動を抑え込んだこともある。
台湾情勢は半導体確保に直結する。各国がいまTSMCの工場誘致にしのぎを削っているのはこのためだ。