京都市営バス“倒産”寸前 「運転手が横柄」ではない、本当の赤字理由

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京都市営バスが危機的な経営状況に陥っている。コロナ禍以前から続く、その問題点を解説する。

見えぬ抜本策

京都市営バス(画像:写真AC)
京都市営バス(画像:写真AC)

 こうして新たな経営改善策が求められていたところに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、京都市営バスは苦境に陥るに至ったのである。現在、民間委託されているバスは316台。次回の委託は2024年から5年間となっており、京都市では次回も、委託するバス台数の現状維持を検討している。もっとも、現在の事業者が引き続き委託に応じるかは、明らかではない。

 経営全体が苦境だが、赤字路線の状況も悲惨だ。2021年度は計74系統のうち70系統が赤字となっている。営業係数では、最も黒字だった清水道・四条河原町を通る207号系統は93なのに対して、洛西バスターミナル、桂駅西口を通る西3号系統は308という数値に。

 それでも、京都市では大規模な路線の廃止やダイヤ再編は実施せず、利用が少ない地域でも路線を維持する方針を示している。京都市では、一部のダイヤ編成の見直しや、鉄道駅との接続を強化した路線の改変によって利便性を高めれば、本数を減らさずとも利用者は回復すると期待しているようだ。

 このまま乗客数が回復せず、予定されている8%程度の運賃値上げを実施しなかった場合、2024年度決算で経営健全化団体入りが確実となっている京都市営バス。もうからないからと、容易に路線を縮小させないことは評価できるが、抜本的な改善案も見えてこない。

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