存続模索する「近江鉄道」 大阪直結の新線構想は起死回生策となりえるか?

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滋賀県東部を走る近江鉄道は、鉄道部門の赤字が続き、苦境に立っている。鉄路存続への模索の動きを解説する。

「単独運営は困難」申し入れ

近江鉄道(画像:堀内重人)
近江鉄道(画像:堀内重人)

 滋賀県東部を走る近江鉄道は、沿線の人口減少や自家用車の普及などで、1994年度から鉄道事業が赤字となり、施設の老朽化も顕著になっている。資金面で苦しい近江鉄道は、2016年2月29日に西武鉄道の完全子会社になったが、2027年度までの10年間で、56億円もの設備更新費用が必要と分かり、2017年12月、滋賀県に対し、「単独での運営は困難である」旨を申し入れた。

 2019年2月4日には、鉄道の存廃を検討している滋賀県と沿線5市5町の会合が、東近江市役所で開かれ、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会を、同年の10月に設置する方針が示された。また民間の調査会社の調査に基づき、鉄道を廃止して代替交通を模索するより、存続した方が費用対効果で有利であるという結論も出ている。

 そこで2020年3月、全線で上下分離経営を採用する形で、存続を模索する方針が決まった。知事や沿線の自治体関係者、地元住民、団体職員なども加わってワークショップやシンポジウムが開催され、地域全体で情報を共有し、鉄道を存続・活性化させる動きが加速している。

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