熊本空港アクセス鉄道「肥後大津ルート」正式決定も 慢性的渋滞の解消は遠き夢、そもそも熊本駅「直通44分」は魅力的なのか?
TSMCの工場設立で注目を浴びる熊本市。そんな同市には現在、もうひとつの重要計画がある。それが市街地と熊本空港を結ぶ空港アクセス鉄道だ。
米アップルCEOも来熊
熊本県は現在、新たなる半導体の世界的拠点として成長が期待されている。12月上旬、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が熊本県を訪れ、熊本市の大西一史市長と会談したほか、小学校の授業や半導体関連施設を視察したニュースは大きな注目を集めた。
同氏が視察した半導体関連施設は、県中部にある菊陽町のソニーグループの施設だ。ソニーグループは現在、世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)やデンソーと組んだ半導体工場の建設を進めており、2024年末までの生産開始を予定している。
TSMCは世界の先端半導体の6割以上を生産しており、その時価総額はトヨタの倍にあたる約60兆円である。iPhoneなども同社で製造された半導体が使われている。そんな同社への期待が、熊本の交通インフラの整備計画を加速させている。
空港アクセス鉄道の計画
TSMC進出を前に、熊本県で決まった最大規模の交通インフラ整備が
・阿蘇くまもと空港(熊本空港)
・熊本市街地
を結ぶ空港アクセス鉄道の計画だ。厳密に言えば、ルートを決定し、詳細な調査と環境アセスメントを実施するための予算計上が「決まった」レベルだ。
これまで熊本空港へのアクセス鉄道は、JR九州の豊肥本線の
・三里木(さんりぎ)駅
・原水駅
・肥後大津駅
のいずれかから分岐して、空港に接続するルートが検討されていた。
ルートのうち、最も本命視されていたのが三里木駅からだった。というのも、このルートを採用した場合、同駅南に位置する熊本県民総合運動公園にアクセスするための中間駅を設置できるからだった。