熊本空港アクセス鉄道「肥後大津ルート」正式決定も 慢性的渋滞の解消は遠き夢、そもそも熊本駅「直通44分」は魅力的なのか?
TSMCの工場設立で注目を浴びる熊本市。そんな同市には現在、もうひとつの重要計画がある。それが市街地と熊本空港を結ぶ空港アクセス鉄道だ。
課題の多い熊本駅

そんななか求められるのが、空港アクセス鉄道以外のインフラ整備だ。実際、本命とされてきた三里木ルートの放棄に対する県庁内の動揺も激しい。地元紙『熊本日日新聞』は次のように報じている。
「肥後大津ルートを「妥当」とした検討委の会合でも、熊本市都市建設局の井芹和哉局長が「交通渋滞の課題があることは議事録にしっかりと残すべきだ」と指摘。九州産交バスの岩崎司晃社長は「運動公園はいつも需要があるわけではない。バスの機動性をうまく利用してはどうか」と提案した」(『熊本日日新聞』2022年11月22日付朝刊)
発言者は言葉を選んでいるものの、熊本県民総合運動公園へのアクセス対策は誰もが首をかしげているようだ。
また、前述の県による「熊本駅まで直通で約44分」というアピールも疑問だ。熊本駅は新幹線停車駅だが、市街地から離れたところに位置している。新幹線開通以降、熊本駅周辺では複合ビルが建設され、新たな市街地が計画されている。
熊本市は、天神と博多がともに栄えている福岡市を目指しているのだろう。ただ、徒歩で十分に移動できる福岡市に比べ、熊本市は駅と市街地が遠すぎる。なにより、人口も経済規模も福岡市には遠く及ばない。
実際、空港を使って市街地へアクセスする人は熊本駅から東に約3.5km離れた新水前寺駅で乗り換え、路面電車で……となるのだろう。熊本駅を熊本の「玄関口」として機能させるためにはまだまだ課題山積である。