名物うずしおが一目瞭然も 大鳴門橋・自転車道整備に横たわる「しょっぱい現実」

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淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋に自転車道を整備する動きが本格化してきた。未利用の鉄道部分を使う計画だが、その裏側には「紀淡連絡道路」と四国新幹線建設の夢が遠のく厳しい現実も見える。

2023年度から設置工事へ

自転車道整備に向けて動き始めた大鳴門橋(画像:高田泰)
自転車道整備に向けて動き始めた大鳴門橋(画像:高田泰)

 兵庫県淡路島の南あわじ市と四国の徳島県鳴門市を結ぶのが、全長約1.6km、主塔の高さ約144mの大鳴門橋(おおなるときょう)だ。渦潮観光の観潮船から上を眺めると、その巨大さにあらためて驚かされる。直径最大30mに達するとされる渦潮も、大鳴門橋と比べると、小さな泡のように感じられる。

 その大鳴門橋に、兵庫県と徳島県が自転車道を設置する。2023年度から工事に入る計画だ。大鳴門橋は1985年開通。鉄道併用橋として建設され、上層に神戸淡路鳴門自動車道が走り、下層に四国新幹線を通すために設けられた鉄道部分がある。

 しかし、神戸市と兵庫県淡路市を結ぶ明石海峡大橋が1998年、道路単独橋として開通したため、大鳴門橋の下層部は、徳島県側に延長450 mの遊歩道と展望台で構成される観光施設「渦の道」が2000年にオープンした以外、未利用のまま放置されてきた。そこに自転車道を暫定的に設置し、サイクリングブームに乗って観光客を集めようという算段だ。

 徳島県の計画では、道幅が自転車道2.5 m、併設の遊歩道1.5 m。兵庫県が約30億円、徳島県が約28億円支出し、早ければ2027年度に完成する見通し。将来、和歌山市と兵庫県洲本市を結ぶ紀淡連絡道路が完成し、四国新幹線が大鳴門橋を通ることになれば、撤去するという。

 自転車道計画は、兵庫県と徳島県が2018年度から検討してきた。未利用空間に幅4 m、厚さ3cmのアスファルト舗装を施し、両端に高さ2.5 mの防護策を設けると仮定して、橋を管理する本州四国連絡高速道路に影響調査を委託したところ、橋全体の耐風安全性に問題がないとする結果が出ている。

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