名物うずしおが一目瞭然も 大鳴門橋・自転車道整備に横たわる「しょっぱい現実」
紀淡連絡道路、整備のめど立たず
しかし、自転車道計画が動き始める背景には、大鳴門橋を通る新幹線計画のめどが立たないことがある。紀淡連絡道路も、国の国土形成計画や第5次四国地方開発促進計画、第5次近畿圏基本整備計画などに推進の方向が盛り込まれたものの、国土交通省や和歌山県、兵庫県による現地調査は2007年度限りで打ち切られている。
紀淡連絡道路は、全長約11kmの紀淡海峡を地ノ島、沖ノ島という2つの島を経由して、和歌山市加太と洲本市由良を結ぶ計画。加太~地ノ島間は約800 m、地ノ島-沖ノ島間は約500 mの距離だが、沖ノ島-由良間は約4.7kmある。ここに橋を架けるとなると全長約3.9 kmの明石海峡大橋を上回る世界最大級の規模になる。
紀淡海峡に四国新幹線を通して、和歌山市経由で大阪府泉佐野市の関西空港へつなぐ構想もあるが、明石海峡大橋を上回る長大橋となれば、建設費は莫大(ばくだい)になる。1兆円を超すと見積もる声も出ているほどだ。
和歌山県や淡路島、四国は特に人口減少が著しい地域だけに、費用対効果に疑問の声が出ている上、四国は明石海峡大橋と大鳴門橋の神戸~鳴門ルート、瀬戸大橋の児島~坂出ルート、しまなみ海道の尾道~今治ルートと3ルートの本四架橋が約3兆円の巨費を投じて完成している。さらなる巨額の投資を財政難の国に同意させるのは、簡単ではない。
和歌山県、兵庫県などの地方自治体で構成する「紀淡連絡道路実現期成同盟会」といった複数の推進団体が国に要望を続けているが、活動は活発と言いにくくなってきた。期成同盟会事務局の和歌山市交通政策課は「2022年度も要望する予定だが、まだ日程が決まっていない」という。
和歌山県や徳島県にとって、紀淡連絡道路や四国新幹線の建設が悲願であることは今も変わらない。大鳴門橋への自転車道設置は地域にとって明るい話題だが、紀淡連絡道路と四国新幹線実現が厳しさを増していることの裏返しともいえそうだ。