長野「公園廃止問題」を炎上させる感情的な人たち 「老人クレーマーvs子育て世代」という単純な図式を捨て、まずは公園の歴史を学べ

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長野市にある青木島遊園地の問題がインターネット上で話題となっている。しかし、明治以降の公園整備史をたどってみると、これを勧善懲悪で語れない部分が多々あるのだ。

文京区の取り組み

文京区の住宅街にこつぜんと現れた公園機能を持たせた広場(画像:小川裕夫)
文京区の住宅街にこつぜんと現れた公園機能を持たせた広場(画像:小川裕夫)

 しかし、空き家が社会問題になったことで国土交通省や総務省は2016年に改善策として特定空き家制度を制定した。同制度により、家屋が存在していても居住実態が認められない場合は特定空き家と認定され、固定資産税の住宅特例は受けられなくなった。

 特定空き家制度と同じくして地方自治体も空き家の解体費用の一部補助をする制度を創設する動きが相次ぐ。東京都文京区では、特定空き家の解体を促すために解体費用の一部を助成する制度を創設。同制度では、解体費用を助成する代わりに、解体後の土地を文京区が10年間無償で使用できる。同制度によって、取り壊された空き家の跡地にはオープンスペースが開設されることになった。

 文京区が10年間という期限付きで開設したオープンスペースは、公園ではなく広場(ひろば)という呼称を使っている。呼称こそ異なるが、誰もが自由に利用できるので、これは公園とほぼ同じ機能を有し、子どもたちの遊び場になることは間違いない。

 10年という期限付きのために遊具などは設置されていないが、ベンチやテーブルなどの簡素な工作物は設置されている。ここで子どもを遊ばせたり、中高生のたまり場になったりして雑談に花が咲くことは十分に考えられる。

 文京区は東京都心部に位置しながらも、閑静な住宅街として人気が高い。住宅街に誕生した広場が子どもたちの遊び場になれば、そこに「うるさい」というクレームが入ることは十分に想定できる。

勧善懲悪で語れない長野県の問題

広場の片隅には、文京区が空き家対策として整備したことが明記された看板がある(画像:小川裕夫)
広場の片隅には、文京区が空き家対策として整備したことが明記された看板がある(画像:小川裕夫)

 日本が人口減少局面に突入している昨今、空き家問題は今後も深刻化することは間違いない。空き家が増えれば、行政は対策を講じざるを得ない。実際、「空き家解体費用補助する替わりに、敷地を〇年間無償で使用する」という政策を掲げる自治体は増えている。

 同政策により、自治体が無償で借り受けた土地は広場などに転換されるケースが多いようだ。つまり、住宅街にこつぜんと子どもの遊び場が出現することが今後は増えるのだ。

 当然ながら、地域住民とのハレーション(副作用)が起きる。また、期限が過ぎた広場は廃止される可能性があるから、そのたびに「周辺からクレームが出て廃止された」といった言説が飛び交うだろう。

 明治以降の公園整備史をたどってみると、官民を問わずオープンスペースを確保するために試行錯誤してきたことがうかがえる。それだけに、長野市の1件は

「クレーマーによって公園が廃止された!」

という勧善懲悪で語れないし、仮にクレームで廃止されたことが真実であっても、それを原因にして簡単に片付けてはならない問題でもある。

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