長野「公園廃止問題」を炎上させる感情的な人たち 「老人クレーマーvs子育て世代」という単純な図式を捨て、まずは公園の歴史を学べ
コミュニティー道路の意義

こうして一時的に活発化していた道路に遊び場機能を持たせる動きは、1976(昭和51)年に東京都が遊び場対策本部を廃止したことで下火に向かっていった。これは、高度経済成長によってマイカー所有者が増え、交通事故や渋滞を防止する目的があったからだろう。
こうして道路から遊び場が消え、子どもたちは排除されていく。他方で、住宅街にコミュニティー道路を整備する機運も芽生えていた。コミュニティー道路とは歩行者を優先するために歩道を広くし、車道部分を意図的に曲がりくねらせた道路のことを指す。1980年には、大阪府大阪市で日本初となるコミュニティー道路が誕生した。
こうした構造のコミュニティー道路では、自動車がスピードを出して走ることはできない。そのため、道路空間は歩行者目線を意識したものになり、ベンチや花壇などが配されるようになる。これは、コロナ禍後に地方自治体が取り組んでいるウォーカブルシティの思想の原点ともいえる動きだ。
明治から現在にかけて、行政はオープンスペースの量的確保に取り組んできた。とはいえ、公園を整備するには用地のほか、遊具の整備などで公園をつくることは莫大な資金が必要になる。それ以上に維持・管理の費用はばかにならない。
そうした事情から、公園整備を急ぐ地方自治体では公園の用地を自前で用意するのではなく、レンタルで応急処置的に調達しようとした。1956年に制定された都市公園法は公園の設置基準を定めているが、同法では借地に公園を開設することも可能だった。しかし、都市公園法で整備された公園は容易に廃止できない。いったん公園になってしまうと、地主は返還を求めることが難しい。これでは公園用地を貸してくれる地主は少ない。
青木島遊園地は「借地公園」

こうした状況を改善し、借地公園を増やす目的で2004(平成16)年に都市公園法が改正される。同法改正によって、借地公園の賃貸の契約期間が終了したときに公園を廃止できることが明確化された。
契約期間の長短は自治体によって異なるが、おおむね15年から20年といったところが相場で、長野市では20年と定められていた。問題になった青木島遊園地も
「借地公園」
で、2004年4月に契約を交わしている。そこから20年間が契約期間にあたるから、契約終了は2023年3月末となる。今回、青木島遊園地の廃止は近隣住民のクレームが原因とされたが、「契約が切れて、更新されなかった」が実情といえるだろう。
先述したように、青木島遊園地のような問題は各地で頻発することが予想される。なぜなら、昨今は空き家問題があちこちで起きており、それは東京・大阪といった大都市でも兆候が出始めているからだ。
空き家問題はさまざまな要因が複雑に絡み合って発生しているが、もっとも厄介な原因には、接道義務を果たしていないことを理由に建物を新築もしくは建て替えできない点だろう。
接道義務とは、建築基準法に定める公道に対して2m以上が接していなければならないという規定だ。こうした接道義務を果たしていない家屋は東京都心部でも数多く見られる。新しい建物を建てることができないから、当然ながら資産価値は低い。下手をしたら、固定資産税だけを負担させられる可能性もある。
そうした接道義務を果たしていない家屋は、これまで取り壊されることなく空き家として放置され続けた。なぜなら、空き家として住宅が存在していれば固定資産税が軽減される住宅特例があるからだ。