「LCC = 安い&狭い」はもう古い? ジップエア「フルフラットシート」に見る、既存ビジネスモデルの崩壊

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価格優先から変化しつつあるLCC。JAL傘下のジップエアトーキョーにはビジネスクラス並みのクラスがある。なぜこのようなものが求められているのか。

ZIP Full-Flatのメインターゲットとは

空港を利用するビジネスマンのイメージ(画像:写真AC)
空港を利用するビジネスマンのイメージ(画像:写真AC)

 筆者(加藤舞、海外旅行ライター)は以前、大手航空各社がビジネスマンの取りこぼしを防ぐためにプレミアムエコノミークラスを新設しているという記事「航空各社がエコノミーでもビジネスでもない「プレミアムエコノミー」にこぞって注力するワケ」(2022年9月16日配信)を当媒体で書いた。

 プレミアムエコノミーのメインターゲットはビジネス客だが、ビジネスクラスと名が付いたものは出張規定で許可されない。しかし、プレミアムエコノミーなら許される――そんな点をうまく突いたサービスだった。前述のZIP Full-Flatもビジネスクラスとは明記されていない。

 大手航空会社や多くのLCCでは、割引航空券の便変更・払い戻しが不可能だ。ジップエアトーキョーもそれに追随しているが、韓国便のみ、どの料金体系でも払い戻しができるが、それ以外の路線は不可能となっている。この点だが、ビジネス客をメインターゲットとするなら、日程変更の柔軟性は不可欠だ。このことからも、現時点ではビジネス客ではなく、レジャー客をメインターゲットにしていると考えられる。

 ジップエアトーキョーのメインターゲットをレジャー客と考えると、2023年に全貌が明らかになるANA傘下のLCC「エアージャパン」(旧エアージャパン・2023年度に新ブランドへと名称変更予定)のターゲットがどのようになるのか見どころだ。

 現在のエアージャパンが就航する路線はシンガポール、ベトナム、香港などの中距離アジア路線だ。メインの路線は異なるが、中距離路線に特化している点はジップエアトーキョーと同じである。もしも、エアージャパンが日程変更やキャンセルに対して柔軟性を持たせられたら、中距離路線の独り勝ちができるだろう。

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