陸空ライバルなのになぜ? 「鉄道」「空港」が各地で乗り入れ・置き換えを進める業界事情
年々利便性を増す、鉄道での空港アクセス。陸路と空路のライバル同士が、その連携を強めている。こうした傾向は、日本国内にとどまらない。
飛躍的に向上した空港アクセス
近年、日本の空港アクセスは飛躍的に便利となった。
日本の玄関口でもある羽田空港は、かつてモノレールしか接続していなかったが、ターミナルの沖合移転に併せて京急が延伸、ターミナル直下へ乗り入れを果たし、最近ではJRが羽田空港アクセス線の建設を計画している。
さらに東急は、蒲田駅で終点となっている多摩川線を、京急蒲田方面へ延伸する形で京急空港線と接続、羽田空港方面へのアクセスが期待されている。
一方の成田空港は、京成とJRが乗り入れ、京成スカイライナーは民鉄最速となる160km運転を実施。日暮里との間をわずか40分弱で結んでいる。
その他の都市でも、関西国際空港はもちろんのこと、中部国際空港や新千歳空港、福岡空港といった主要な国際空港へは、いずれも鉄道が乗り入れている。
これらは、最初から乗り入れていたわけではなく、いずれも後にターミナルへ接続する鉄道が設けられた形だ。
飛行機の発着に必要不可欠な空港の建設には、広大な土地が必要となる。したがって、たいていの空港は近隣都市から離れた場所に建設をされることが多く、市街地付近にある空港は珍しい。そのため開港したばかりの空港には、鉄道が乗り入れていないところが多かった。
そもそも鉄路と空路は、都市間輸送という側面では完全にライバル関係にあり、考えようによってはわざわざ敵に塩を送ることにもなり兼ねない。