陸空ライバルなのになぜ? 「鉄道」「空港」が各地で乗り入れ・置き換えを進める業界事情
年々利便性を増す、鉄道での空港アクセス。陸路と空路のライバル同士が、その連携を強めている。こうした傾向は、日本国内にとどまらない。
意外と最近? 空港への鉄道乗り入れ
鉄路、空路ともに発達しているヨーロッパも、日本の事情と似たところがあり、ターミナル直下への鉄道の乗り入れは1970年代以降になってから急速に整備されていった。
ヨーロッパでも屈指の大空港として知られる英国ロンドンのヒースロー空港は、1930年に町の小さな飛行場として開港してから1977年までの47年間、アクセスは道路交通のみという状況だった。
だが空港周辺の深刻な道路渋滞に加え、ロンドン市内までのアクセスが悪いという理由で地下鉄の延伸を決定し、ピカデリー線が乗り入れることとなった。1998年には2本目の鉄道で、より速達性の高いヒースロー・エクスプレスの乗り入れも始まった。
他のヨーロッパ諸国の主な大空港を見ても、フランクフルトが1972年、パリが1976年、チューリッヒが1980年、アムステルダムが1986年と、空港連絡鉄道の建設はそれほど遠い過去の話ではないことが分かる。
空港の供用開始2年後に整備されたパリのシャルルドゴール空港を除けば、ほとんどは空港建設後かなり経過してからアクセス鉄道が建設されたことになる。
空港と都市間のアクセス鉄道がひとしきり整備された後、現在のヨーロッパはさらに一歩先の段階へ進もうとしている。
それは、高速列車の乗り入れと鉄道会社との連携だ。