道路を破壊する「ネット通販業者」 税金整備で国交省も敵視、“アマゾン税”なるジョークが飛び交う深刻な現実とは
道路が短命化している。その背景にはネット通販の増加もある。短命化すれば、道路に投じられる税金は増える。
インフラにタダ乗りするネット通販業者

こうした事態に、行政もまったく手をこまねいているわけではない。2017年、国土交通省住宅局は建築基準法における「マンションなどの集合住宅のエントランスに設置されていた宅配ボックス」を容積に算入しないことを明確化した。
それまで宅配ボックスは、容積率に算入されるのか否かが曖昧な存在になっていた。宅配ボックスが容積率に算入されてしまうと、その分だけ部屋を広さや数を減らさなければならなくなる。集合住宅の建設・販売するデベロッパーにとって、これは利益にも大きく影響を及ぼす。宅配ボックスを設置するよりも、部屋の戸数を増やしたり、一戸を広くしたりした方がデベロッパー的にはもうかるからだ。
そうした事情から、容積率に算入されるかどうかが曖昧な宅配ボックスは事業者には厄介な存在で、宅配ボックスを忌避する事業者もいた。
国交省が宅配ボックスを容積率に算入しないことを明確化した目的は、先述したように宅配・物流事業者の再配達を減らすことにある。それが道路のダメージを減らすことにつながる。道路へのダメージが減らすことができれば、道路にかけるメンテナンス費用は削減できる。
逆説的な見方をすれば、ネット通販の事業者は税金で整備される道路というインフラにタダ乗りし、いたずらに傷める
「無法者」
ともいえる。
もちろん、実際に道路を傷めているのは宅配・物流事業者の大型トラックだが、ネット通販によって荷物は増え続け、結果として大型トラックの通行が激しくなったことを考えれば、国土交通省や自治体の道路関係部局の担当者たちがネット通販を敵視するのも納得できる。