国際線の運賃、「燃油込み = お得」は大間違い? 巧みなエアライン戦略を巧みに見抜け

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国際線において、燃油込みの運賃だと良心的に見えるが、実は別運賃のほうが安いケースも少なくない。

燃油別のほうが運賃安いケースも

LCCは航空券を燃油込みで販売する航空会社が多い(画像:シカマアキ)
LCCは航空券を燃油込みで販売する航空会社が多い(画像:シカマアキ)

「大阪(関西) = ソウル(仁川)」の航空券を比較してみよう。往路12月9日(金)、復路12月11日(日)で、燃油込みの合計金額は次の通りとなっている(2022年11月半ば時点)。

・peach:3万8410円(燃油込み)
・エアプサン:3万470円(燃油1万5400円)
・チェジュ航空:4万9770円(燃油1万5400円)
・大韓航空:6万6240円(燃油1万5400円)

 現在、日本入国が2022年10月11日に緩和されて以来、日韓路線は人気で、運賃は軒並み高騰している。それを差し引いて、同じ路線で1日複数便を運航するpeachとエアプサンを比べると、合計金額に差があるのがわかる。燃油別のエアプサンのほうが8000円ほど安い。

 しかも、peachだとクレジットカード決済でさらに手数料がかかる。機内持ち込み手荷物もpeachが 7kgまでであるのに対し、エアプサンは10kgまでと違う。手荷物ルールは厳格で、超過するとさらに追加料金が課せられる。

割安イメージの実態

航空機に給油する作業(画像:シカマアキ)
航空機に給油する作業(画像:シカマアキ)

 航空会社によって「燃油サーチャージはいただきません!」と銘打ち、航空券を販売するケースは、格安航空会社(LCC)で特に多い。

 なぜLCCで燃油込みが多いのか。それは、

・運賃でしのぎを削っている
・価格競争がある

からにほかならない。運賃を比較して航空券を買うLCCでは、合計金額の数千円、数百円の差が購買に影響する。しかも、燃油込みだと

「なんとなく割安感が出る」

のもLCCにおける販売戦略の一環だ。

 大手航空会社では、会社の経費で乗る、一時帰国などでやむを得ず乗るなど、運賃に関わらず航空券を購入する人がLCCより多い。そのため、多少の割高感があってもイメージ低下にはつながりにくい。

 一方、日本国内線で燃油サーチャージを徴収するのは、地方路線を中心に運航するフジドリームエアラインズ(FDA)のみ。ANAやJALなど大手航空会社も、日本国内線は別途徴収していない。