進化するバスアプリ! でも改善点もまだたっぷり、ベテラン散歩ライターが気に入った一品とは?
散歩好きにはバスがぴったり

筆者(増田剛己、モビリティ甘口評論家)が散歩記事を書くために、都内各地を歩くようになってそろそろ20年になる。最初のころ、文庫本サイズの地図を持ち歩いていたが、そのうち、あらかじめインターネットでコースを検索し、歩く予定のエリアの地図をプリントアウトして持ち歩くようになった。
時代は進み、携帯電話で地図が表示できるようになった。最初は地図を表示するだけだったが、そのうち目的地までの道順なども検索できるようになった。電車の乗り継ぎを教えてくれるのは今では当たり前だが、当時はとても便利だと感じた。
散歩記事を書くようになって、乗る機会が増えたのがバスだ。移動するだけなら電車や地下鉄でもいいのだが、バスは道路を走るので街の景色を見られる。車窓から見たスポット――例えば、神社仏閣、商店街、お店といった気になるものをメモして、後からそこへ足を運んだことが何度もあった。このように、散歩をする人にはバスはとても有効な移動手段なのだ。
画期的だった都営バスアプリ

あるとき、都営バスの停留所にアプリ紹介の案内があった。早速入れてみると、自分が乗りたいバスが今どこを走っているかを教えてくれるものだった。今から考えれば、かなり初歩的なものだった。
まず、自分が乗りたいバスの番号を入れる。「早77」「池86」などのバスに付けられた記号で、これはバス停に書いてあるのですぐわかった。番号を入れたら、なんとそのバスがどの停留所あたりを走っているかが一目瞭然だったのだ。これには驚いた。
当時、筆者は時刻表通りにバスが来ないことにイライラしていた。それがこのアプリを使えば自分の乗りたいバスの場所がすぐわかるので、イライラは解消された。バス停に並んでいる人たちにも、「バスは今、ひとつ前の停留所まで来てますよ」みたいに教えてあげたこともある。
しかし、いつしかそのアプリを使わなくなった。というのも、バス停そのものに同じ機能が付き始めたからだ。いわゆる「接近表示」というやつで、今どのくらい前の停留所にバスが来ているかを教えてくれるものだった。