お台場に熱狂を生み出した「ゆりかもめ」「りんかい線」 功績の裏にあった政治的翻弄、パレットタウン観覧車消滅で振り返る
ストップしたゆりかもめの延伸議論

人口増が明らかにしたように、13号地と10号地は確実に発展の道を歩んでいる。それらは、東京都があれこれ奔走したことや民間企業の奮闘などもあっただろうが、なによりも13号地へのアクセスを可能にしたゆりかもめとりんかい線、そして都営バスが果たした役割は大きい。
これらの公共交通網がなければ、13号地に通勤することはかなわない。逆に13号地に居住して、新橋駅や銀座駅、丸の内、新宿に通勤することは不可能だろう。13号地発展の立役者でもあるゆりかもめは、2006(平成18)年に豊洲駅まで延伸。中間駅となる新豊洲駅も開設された。
しかし、ここでも政治に踊らされられることになる。新豊洲駅は2018年に開場した豊洲市場の最寄り駅となるが、土壌汚染の問題などから開場は遅れた。それに伴い、新豊洲駅の利用者も低迷する。
豊洲市場の問題は決着したものの、まだ問題はくすぶっている。豊洲駅まで延伸を果たした後、ゆりかもめは中央区勝どき方面へと延伸することが検討されていた。中央区勝どきは、2000年代から高層マンションが乱立し、人口増が見込めるエリアでもあった。
さらに勝どきに隣接する中央区晴海は東京五輪の選手村として開発され、五輪後の2024年に5500戸以上の分譲・賃貸住宅と商業施設が立ち並ぶ街区「HARUMI FLAG」へと姿を変える予定で造成が進められている。
ゆりかもめの延伸は、こうしたエリアの需要を見込んでいたわけだが、晴海エリアには新橋駅・虎ノ門ヒルズを結ぶ東京BRTが2020年からプレ運行を開始。さらに有楽町線を豊洲駅から分岐させる支線の計画の議論も本格化している。これらの公共交通網が整備されると、ゆりかもめはお荷物になってしまうかもしれない。そんな懸念もあり、ゆりかもめの延伸議論はいったんストップしている。
東京湾岸の興亡盛衰は政治の歴史の積み重ねといっても過言ではない。現在、東京湾の埋め立て地に新たな鉄道計画は浮上していないが、埋め立て地への交通を担うゆりかもめやりんかい線、都営バスも政治に踊らされられてきた。家族連れや若者でにぎわう台場エリアには、そんな複雑な歴史が隠れている。