西九州新幹線の「博多延伸」 やっぱりフリーゲージトレインだと全然ダメなわけ
ミニ新幹線化に反対する佐賀県

佐賀県は、西九州新幹線の武雄温泉~新鳥栖間のフル規格新幹線整備や、ミニ新幹線化に反対している。なぜなら、佐賀県の費用対効果、負担金だけでなく、新鳥栖駅へ停車する列車の減少が挙げられるからだ。
確かに費用対効果という面では、佐賀県のメリットは少ない。対福岡(博多)という意味では、フル規格新幹線で整備しても、佐賀~博多間は距離的に短いことから、所要時間の短縮は15分程度だ。
それに要する佐賀県の負担は、約1200億円といわれている。自治体の負担分は地方債を発行できる。地方債の元利を償還する際は、国からの地方交付税を充当できる。そうなると、佐賀県の実質負担金は400~660億円程度になるが、それでも佐賀県は反対の姿勢を貫いている。
博多からの時短効果は、単線で急カーブが多い長崎本線の江北(旧:肥前山口)~諫早間を武雄温泉~長崎間のフル規格新幹線としたため、長崎県の方が大きい。だが新幹線の建設距離は、長崎県内の方が短いから、費用の負担も少なくなる。
長崎本線の鳥栖~江北間は、複線電化されており、特急列車も130km/h運転を実施していることもあり、フル規格新幹線が開業しても、佐賀県の時短効果が小さい。だが建設距離は武雄温泉~新鳥栖間となるため、長崎県内より距離が長くなり、費用の負担も大きくなる。
整備新幹線の着工の条件には、
・費用対効果の算定
・運営事業者であるJRの合意
・沿線自治体と並行在来線の合意
が必要であり、自治体の合意なしでは整備新幹線の着工はできない。武雄温泉~長崎間は長崎本線とは離れており、佐賀県にとってみれば並行在来線とはいいづらい面があった。
並行在来線となる長崎本線の江北~諫早間は、新幹線開業後20年間はJR九州が運行することを、長崎県と佐賀県が合意している。そして新鳥栖~佐賀~武雄温泉間は在来線ルート経由として佐賀県は合意している。在来線を使うため、この区間に「並行在来線問題は存在しない」となっていた。
一時期、フリーゲージトレインの実用化の話が出て来た。そのため、武雄温泉~長崎間を在来線のゲージのまま、200km/h運転が可能な「スーパー特急方式」からフル規格新幹線に昇格させても、新鳥栖~武雄温泉間の在来線直通の枠組みは保(たも)てる。佐賀県は、これであれば納得していた。
長崎県と政府与党プロジェクトチームは、フリーゲージトレインが実用化されないなら、両端の武雄温泉~長崎間、新鳥栖~博多間はフル規格新幹線で建設されているため、佐賀県内もフル規格新幹線で整備すればよいと考えている。