西九州新幹線の「博多延伸」 やっぱりフリーゲージトレインだと全然ダメなわけ

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フリーゲージトレイン導入のメリット・デメリットは何か。西九州新幹線の博多延伸を通して考える。

フリーゲージトレインとは

N700系電車(画像:堀内重人)
N700系電車(画像:堀内重人)

 いきなりだが、皆さんはフリーゲージトレインをご存知だろうか。フリーゲージトレインとは、線路幅が異なる区間であっても直通運転が可能なように開発された車両だ。日本では、主に標準軌の1435mmが採用された新幹線と、狭軌の1067mmが採用された在来線の両方の線路が走行できる車両を指す。

 なぜこのような車両が検討されたのか。それは、新幹線と在来線の線路幅が異なるため、直通運転ができない問題点があったからだ。その点を解消するため、在来線を改軌させた「ミニ新幹線」が検討された。そして、山形新幹線や秋田新幹線は在来線を改軌して、東京~山形間や東京~秋田間へ直通運転が可能となった。乗り換えの解消などにより、利用者の精神的・肉体的な負担減少と、幾分のスピードアップが実現した。

 だがミニ新幹線を導入するには、在来線を改軌せざるを得ず、それには列車を運休させなければならない。そうなると代替路線や代行輸送がないと難しい。

 山形新幹線の工事期間中は仙山線を活用して東京~山形間の都市間輸送を、秋田新幹線の工事期間中は北上線を活用して東京~秋田間の代替輸送を担った。山形新幹線・秋田新幹線ともに、ローカル輸送に関してはバスで代替を行うなど、ミニ新幹線ではさまざまな問題点がある。それゆえ武雄温泉~新鳥栖間のミニ新幹線は、佐賀近郊区間であることから、導入されることはない。

 そうなると、新幹線区間と在来線の両方を走行することが可能な車両を開発して導入すれば、ミニ新幹線の問題は解消できる。そこで国土交通省の施策で、日本鉄道建設公団(現:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の委託により、フリーゲージトレイン技術研究組合が開発を進めて来た。

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