運転中のドライバーを襲う「意識不明の事故」 プロドライバーさえ防げない悲劇、その根本原因とは何か?
運転中にもしドライバーが意識を消失したら、クルマは、ドライバー本人はもちろん周囲の人々の命を脅かす凶器と化す。このような事態に対し、ドライバーの体調不良を検知できる仕組みはないのだろうか?
8月の事故、ドライバー不調も一因か
2022年8月22日(月)、また悲劇的な交通事故が発生してしまった。
名古屋市内から名古屋空港に向かっていた路線バスが、名古屋高速内の中央分離帯に衝突し炎上、ドライバーと乗客の計2人が死亡、7人が負傷した事故のことである。
この事故についてはまだ調査中ではあるが、事故現場にブレーキ痕がないこと、周囲を走っていたクルマのドライブレコーダーによって、バスがふらつきながら走っている様子が記録されていることなどから、ドライバーが運転中に突然かつ深刻な体調不良にみまわれた可能性が指摘されている。
ドライバーが突然の体調不良により正常な運転を継続することができなくなった事例は過去にも多数発生している。
・2017年11月、『それいけ!アンパンマン』のドキンちゃん、『ドラゴンボール』のブルマの声で知られる声優の鶴ひろみさんが、大動脈解離により、運転中に死亡した。
当時、鶴さんは首都高速を走行中だったが、ハザードランプを点けクルマを停止、意識不明の状態で座っているところを発見された。
・2019年12月、はとバスが停車中のハイヤーに追突、ハイヤーのドライバーが死去した。事故後、はとバスのドライバーはインフルエンザに罹患(りかん)し38度の熱があることが確認されたが、事故当日の乗務前に行った点呼では体調異常を確認できなかったという。