運転中のドライバーを襲う「意識不明の事故」 プロドライバーさえ防げない悲劇、その根本原因とは何か?
運転中にもしドライバーが意識を消失したら、クルマは、ドライバー本人はもちろん周囲の人々の命を脅かす凶器と化す。このような事態に対し、ドライバーの体調不良を検知できる仕組みはないのだろうか?
疾病原因の自動車事故、毎年300件前後
・2017年5月、千葉県白井市内の国道で壁面に車体をこすり、白煙を上げながら走行するトラックを発見した会社員が、自身の乗用車をぶつけてトラックを停車させたところ、トラックドライバーは心筋梗塞で呼吸停止していた。会社員は、通りがかりの看護師とともに心臓マッサージを行い、トラックドライバーは命を救われた。
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バス、タクシー、トラックを運転する職業ドライバーにおいて、疾病を原因として運転を継続できなくなった事故は、毎年300件前後発生している。
2018年は363件、2019年は327件発生しているが、約7割は衝突や接触を起こさず、つまり交通事故に至っていない。一方で、死傷者が生じたケースも、2018年に18件、2019年には23件発生している。
圧倒的に発生件数が多いのが、路線バスなどの乗合バスである。運転者数約8万人に対し、2019年には167件の事故が発生しているので、単純計算すると発生率は0.2%となる。
数の多いトラックドライバー(約86万人)では77件だから、発生率は0.01%となる。もっとも、これは事業者自身から国土交通省に対し報告のあった事例をカウントした統計であるから、物損および人身事故にならなかった事例については、カウントされていない可能性が高い。
バス事業者とトラック事業者における問題意識や危機意識の違いが、この結果を生んでいる可能性は否定できない。