アマゾンのレビューに「商品とは関係ないクレーム」がたくさん書かれている理由

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宅配便で避けられない破損事故。その結果、大手通販サイトのレビュー欄には、事故に対する不満が多く書かれている。そもそもこれを防ぐためにはどうしたらよいのか。

「流通過程」に対するレビューが混在

Amazonレビューの「流通過程」に対する批判(画像:Merkmal編集部)
Amazonレビューの「流通過程」に対する批判(画像:Merkmal編集部)

 最近、SNS上で「Amazonレビューあるある」が盛り上がった。「あるある」とは、Amazonで購入された商品の「流通過程」に対する批判が、レビューの低評価につながっているというものだ。

 商品が本だった場合、帯が破れるなどの破損した本が送られてきたら、本の内容ではなく、破損に関するクレームがレビューに書き込まれる――といった具合である。本の著者にしてみたら、自身に関わりのないところで作品を低評価されるのだから、たまったものではないだろう。

 もちろん、ほとんどのレビューが商品そのものを評価しているが、

・流通過程の良しあし
・ショップ対応の良しあし

がごちゃ混ぜになっているケースが少なくない。商品を購入する際、他人の書いたレビューを参考にする人は多いため、こういったことは考えものだ。

破損はどのくらいの割合で起こるのか

宅配された荷物のイメージ(画像:写真AC)
宅配された荷物のイメージ(画像:写真AC)

 さて、流通過程における商品の破損はなぜ起こり、また、どのくらい起こるのだろうか。

 国土交通省のデータによると、2021年度の宅配便の取り扱い個数は49億5323万個だった。数字を単純に365で割ると、1日あたりの宅配便取り扱い個数は

「1357万個」

となる。そのうち破損はどのくらいあるのだろうか。

 かつて、最大手宅配便会社のドライバーとして集配に携わってきた筆者(二階堂運人、物流ライター)の経験上、地区や地域にもよるが、ドライバーが1日に配達する個数は100~150個で、そのうち破損して到着する荷物は1個あるかないかだ。

 そのほとんどの場合が、商品の価値を損なわない

・箱つぶれ
・紙破れ

である。

 もちろん、依頼人や受取人に中身を確認して受け取りを判断してもらうが、商品の価値を損なうほどの荷物の到着はまれだ。

 宅配便会社が破損、つまり「荷物事故」としてカウントするのは、

「その商品の価値が失われ、代品および賠償に至った」

ケースだ。

 また、破損した荷物でも

・依頼人や受取人が寛容な人でおとがめ無く荷物を受け取る場合
・破損しているにも関わらず配送会社や販売会社に報告されない場合
・受取人が中身を確認せず破損と知ったときには受取日から日数がたっている場合(宅配会社によっては免責期間を設けている場合もある)

などのケースもあり、正確な破損の数は把握できないのが実情である。

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