「制服姿でサボるな」 休憩中の配達員にクレーム頻発、あり得ない不寛容さから見える没落日本のリアル

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近年、制服を着た人間の行為に対してクレームを入れる人間が増えている。多くの配達員を抱える物流業界もその悩みにさらされている。

昼休みは「休憩時間」

公園のベンチ(画像:写真AC)
公園のベンチ(画像:写真AC)

 彼の語るプライベートな時間とは、主に昼食時間を指している。労働基準法第34条では昼休みは「休憩時間」として以下の通り規定している。

「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。2.前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。3.使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない」

 法的な解釈として

「休憩 = 昼休み」

は使用者の指揮命令が及ばず、労働そのものから完全に開放された状態にあり、それが保障されている時間だ。ちなみに電話の応対や仕事の待ち時間などは

「手待ち時間」

とされ労働時間の一部であり、これを昼休みに含むことは労働基準法違反となる。

 つまり、法的には日本企業の労働時間の多くが、実のところ「労基違反」か限りなくグレーであることが多いのが実情だ。飲食業や小売りなどのサービス業はもちろん、運送業界もまさしくそうだろう。もちろん業務請負などのフリーランス、個人事業主などは労働基準法の適用外でこの限りではない。

「再配達の直通電話とか、どうしても取らざるを得ない状況もありますからそれは仕方がないのですが、昼休みに弁当を食べていたり、喫煙していたりするときくらいは見逃してほしいですね。ごくまれとはいえ、制服姿だと苦情が入るのです」

休憩は「労働者の権利」

吸い殻入れ(画像:写真AC)
吸い殻入れ(画像:写真AC)

 たとえ制服姿であろうとも、昼休みは労働者の権利であり労使協定などで合意した以外の行動は自由だ。こう書くと早速目くじらを立てる人もありそうだが、法的には自分のスマートフォンでゲームをしたり、動画を見たりは(あくまで例として)休憩時間である限り自由である。

 ただし多くの企業ではおそらく、特に制服着用の場合は

・企業秩序
・規律保持

の名目で、映画館やパチンコ屋、公営賭博などの娯楽施設に行くことは控えるように通達がなされている場合がある。

 もちろん、これも制服を脱いで私服でいる分には(運送業務の場合は現実的ではないが)法的には問題ない。そもそも制服は会社からの貸与であり、本来は勤務時間外には脱ぐべきという解釈もあり得る。結局のところ判例や通達とその解釈にもよるのだが、原則的には「休憩 = 昼休み」の自由は

「労働者の権利」

である。

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