銚子電鉄の本調子はこれから? 「利益21万」ギリギリ経営、苦闘の歴史を淡々と振り返る
銚子電鉄の2021年度決算の純利益は21万円で、2015年度以来6年ぶりに黒字を達成した。コロナ禍で乗客が伸び悩むなか、久しぶりの明るい話題となった。
2021年度の決純利益は「21万円」

銚子電鉄(千葉県銚子市)が6月末に2021年度の決算を発表した。純利益は21万円で、2015年度以来6年ぶりに黒字を達成した。コロナ禍で乗客が伸び悩むなか、久しぶりの明るい話題となった。
黒字になったのは、副業のぬれ煎餅販売が好調だったためだ。自社工場で製造されるぬれ煎餅やまずい棒(うまい棒のパロディ商品)などの物販は、売上高が前年度比13.3%増の4億5066万円で、9605万円の黒字となった。
一方、鉄道部門は乗車人員こそ前年度比8.6%増の29万5638人となったものの、定期券収入は1.2%減の7763万円。これに加えて、修繕費や電車の運行経費がかかったため、1億3500万円の赤字になった。
結局のところ、物販の増加に加えて、雇用調整助成金や国や自治体からの補助金があったため、なんとか黒字になったのが実体だ。その額も21万円と微々たるもので、相変わらず経営は崖っぷちである。
経営難が常態化している銚子電鉄だが、現在はまだマシに見えるのは2006(平成18)年頃のどん底の経験があるからだ。
当時、同社はぬれ煎餅の副業収入で本業を支えている特異な経営体質で注目を集めていた。ところが同年11月に
・枕木の腐食
・踏切保安装置の脱落
が判明。さらに点検を進めたところ、レールの亀裂も発見され、国交省関東運輸局から安全確保に関する事業改善命令を受けるに至った。
この工事費用が3000万円近くかかったことに加えて、2007年春までに、保有車両のうち少なくとも3両の法定検査が必要となっており、そのための予算は1000万円を見込んでいた。