茨城の星? 1998年開業、常磐線「ひたち野うしく駅」の知られざる利便性を知っているか
牛久市と稲敷郡阿見町がランドマークに力を入れている模様

ひたち野うしく駅が所在する牛久市と、隣接する稲敷郡阿見町が力を入れているのは、観光客の誘致だろう。ひたち野うしく駅の改札付近には、牛久市出身の第72代横綱稀勢の里が興した二所ノ関部屋への道順を案内した看板兼地図がある。牛久市と稲敷郡阿見町は、二所ノ関部屋をひたち野うしくのランドマークに位置づけたいようだ。
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二所ノ関部屋はひたち野うしく駅東口から徒歩約10分、牛久市から稲敷郡阿見町に入ってすぐのところにある。従来の相撲部屋と異なり、稽古場の土俵が2面、屋外にバスケットゴールを設けており、力士にとっては鍛えやすい環境が整っている。
また、相撲部屋では異例と言える来客用の駐車場を設け、付近には山稽古(土俵以外の場所で稽古すること)を想定しているのか、アスファルト上に土俵を描いており、夏以外は使えそう。さらに歩道上に設けられた玄関の塀は石製の棒で支えており、地震などが発生した際の倒壊防止に努めている。
今は敷地外から気宇壮大な相撲部屋を眺めるのみだが、新型コロナウイルスが完全に終息すれば、どの相撲部屋でも行われる朝稽古の一般公開が考えられる。牛久市と稲敷郡阿見町も“相撲の町”として大いにPRできるだろう。
参考までに茨城県の相撲部屋は式秀部屋(龍ヶ崎市)、立浪部屋(つくばみらい市。現在は都内に移転)以来3例目となり、二所ノ関部屋は“日本最北端の相撲部屋”だ。
交流電化がネック

常磐線首都圏エリア最大のネックは、取手~藤代間を境に直流電化と交流電化に分かれることだ。茨城県石岡市に気象庁の地磁気観測所があり、直流電化だと自然の地磁気に影響を及ぼす恐れがあることから、茨城県内の大半を交流電化にせざるを得なかった。これにより、交流電化エリアは列車の運転本数が少ない。
さらに一般形電車も東海道本線、東北本線、高崎線、湘南新宿ラインは、グリーン車、トイレつきのE231系近郊形タイプとE233系3000番台で、宇都宮・高崎~熱海間など広範囲に運用できる。
一方、常磐線は各駅停車を除き、グリーン車、トイレつきで、直流電化と交流電化の両方走行できるE531系、グリーン車、トイレなしで直流電化のみ走行のE231系通勤形タイプと異なる。このため、運用範囲も狭く、品川以西に乗り入れることはない。
別の見方をすれば、常磐線下り列車の始発駅は品川、上野に限定されること、上り列車はひたち野うしくで座席がすべて埋まっても、取手で始発の快速に乗り換えができるので、着席通勤がしやすいメリットもある。