生産台数は激減でも「販売台数」は増加! コロナ禍に起きた自動車業界の知られざる変容とは
2020年から続く新型コロナウイルス禍は、2022年7月現在、いまだ収束の気配が見えない。この間、自動車業界はどのような影響を受けてきたのか、生産台数・販売台数から考える。
受給バランス調整、メーカーが腐心
自動車メーカー各社はコロナ禍以降、部品の調達や生産台数の調整、在庫管理など、さまざまな面で工夫をこらしてきた。さらに、販売店では、納期の早い車を案内するなどして顧客が他社へ流れてしまうことを防ぐ対策も取ってきたという。
ある国産自動車メーカーでは、同じ車種でもグレードによって納期が異なるケースがあるため、どうしても早く車を入手したいという顧客に対しては、グレードを変更する案内をすることもあるという。
例えば、あれば便利だが絶対に必要ではない装備品は、できるだけ取り付けないように促すというものだ。その装備品に半導体が使われていれば納期が長くなってしまうが、半導体を減らすことで、車の納期を数か月ほど早めることが可能なケースも実際にあるという。
実際に、国産自動車メーカーに出向き、ミニバンの納期を確認してみた。バックセンサーを搭載すると、納期が9か月だが、非搭載にすると5か月ほどで納車可能だと話してくれた。バック時にセンサーが反応して障害物への接近を知らせてくれるこうした装備品は、あるには越したことがないものだが、必需品とまでは言えないだろう。
また、低燃費で需要が高い車種を優先して生産する措置を取っている場合もあるため、ここで具体的な車種は言及しないが、燃費が悪く、万人に受けない趣味性の高い車種は納期が長くなることもあるという。