フォルクスワーゲンの原型? 1920年代チェコで生まれた「革新的小型車」 その数奇な運命とは

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1920年代、東欧の工業国チェコで、革新的メカニズムを備えた車が登場した。「タトラT11」。かの有名なフォルクスワーゲンの技術的母体とも言われている小型車だ。

20~30年代に注目された流線型

 タトラの空冷水平対向エンジン搭載のFR(フロントエンジン・リアドライブ)シリーズは、レドヴィンカの熱意あふれる設計ではあったものの、架装ボディとシャシーを含めたトータルパッケージングで見る限り、正直言って水平対向であることの必然性は薄かった。

 もちろんこれらはレドヴィンカも先刻承知であり、実は彼が考える本命というべきクルマの設計案は、さらに水平対向エンジンであることを生かすべく先進性にあふれていたのが特徴だった。

 1920年代の終わりから1930年代の初めにかけて、世界的なアールデコブームとともに大きくクローズアップされることとなった、新たなテクノロジーに流線型ボディがあった。

 レドヴィンカの新たな計画。それは、エンジンを含めたメカニカルコンポーネンツをワンパッケージに集約した上でボディ後部に搭載し、エンジンが無くなったことで新たに低いデザインが可能となったフロントからリアにかけて、滑らかな流線型ボディと組み合わせた量産車の実現だった。

 レドヴィンカとしては、これらRR(リアエンジン・リアドライブ)の流線型ボディ車をタトラのメインモデルとしてベーシックラインから幅広く展開することを望んでいたと言われている。しかし当のタトラ経営陣は、その先進設計ゆえに冒険的過ぎるとして、まずは付加価値の高いフラッグシップモデルでの展開しか認めなかった。

 これが、1934年に発売されたT77である。

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