カーマニアの神髄! 実に奥深き「キットカー」の歴史をご存じか

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ある程度組み立てた半完成の状態で販売される「キットカー」。完成車に掛かる税金を節約する目的で生まれた販売方法だが、自動車への理解を深める欧米の自動車趣味のひとつとして愛された。

未完成状態で販売される「キットカー」

トーネード・サンダーボルト。プリミティブなルックスのスポーツカーではあるが、そのパフォーマンスは1950年代の2リッターエンジン車としては優秀でありこの個体はアメリカ東海岸のヒストリックカーレースではおなじみの存在である(画像:矢吹明紀)
トーネード・サンダーボルト。プリミティブなルックスのスポーツカーではあるが、そのパフォーマンスは1950年代の2リッターエンジン車としては優秀でありこの個体はアメリカ東海岸のヒストリックカーレースではおなじみの存在である(画像:矢吹明紀)

 クルマの世界、特に欧米のマニアックなモデルの業界には「バックヤードビルダー」という言葉がある。

 和訳すればさしずめ「裏庭工房」となるわけだが、これは裏庭のようなスペースでクルマを作っている小さなコンストラクターを意味することが多い。

 ただしルーツはプロのクルマ屋のことではなく、あくまで一般のアマチュアマニアが裏庭でキットカーを組み立てていたことに由来している。

 ところでキットカーとは何か?

 それは、クルマを完成車ではなく、ある程度組み立てた半完成状態で販売、最終的な完成は購入者が自身の手で行うという販売形態を取っていたクルマのことを指している。

 なぜこんな販売方法が生まれたかというと、欧米ではクルマをキットで購入し、最終組み立てを自分でやることで、完成車に掛かる税金(最大で40%にも達していた)を節約することができたことが理由である。

 こうした販売形態は特にイギリスで盛んであり、有名なところではロータス、マーコス、TVRなど、後に完成車としてのスポーツカーで有名となるイギリスの小さなコンストラクターはいずれもキットカーメーカーがルーツだった。

 もちろん一口にキットカーと言っても、その内容はさまざまだ。

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