札幌を騒がす「ヒグマ出没」 交通規制も多数発生、そもそもなぜ市街地へ現れるのか
近年、毎年のように札幌市街地にヒグマが出没し、市民生活に影響を及ぼしている。人的被害が出たケースもあり、行政などはその対応に頭を悩ませている。
効果的な対策は――模索続く

さらに2022年5、6月には同市南区中ノ沢の住宅街に、母グマが3頭の子グマを連れて現れたと、各所から目撃情報が届けられた。人々はわが家の戸を締め切り、息を潜めてクマが去るのを待ったという。
地元のテレビや新聞は、現れたクマの姿を撮影し報道したため、札幌市民はもとより北海道内全体で大きな話題となった。写真は、親グマが札幌市東区の住宅街の道路を横断しているもので、背後には乗用車が見える。
どうしたらクマ被害を防ぐことができるのか。先述の釣賀研究主幹は、まず第一に若い雄グマ対策には草を刈って移動を遮断するのが大事だとしている。
雄グマは2歳までに親離れし、4歳くらいまでに雌を求めて身を隠しながら別の土地に移動する習性があるので、草を刈り取ることでクマの移動を遮断するのだという。
次に、成獣は強靭(きょうじん)な体を持ち暴れ回るので、果樹園などに侵入させないよう周辺を電気柵で囲んで追い払うのが一番効果的とのこと。
最後に子育て中の母グマは近年、人里に近づいて出産する例が増え、2022年3月には西区の三角山登山道付近で、冬眠穴が見つかっている。
どんな対策が効果的か、札幌市を中心に論議が交わされているが、これといった決め手がないのが実情だ。
クマに揺れる大都会。何やら人間の乱開発に怒ったクマが立ち上がった。そんな風にも見えてくるのは飛躍し過ぎと思いつつも、やはり考えてしまう。