札幌を騒がす「ヒグマ出没」 交通規制も多数発生、そもそもなぜ市街地へ現れるのか
近年、毎年のように札幌市街地にヒグマが出没し、市民生活に影響を及ぼしている。人的被害が出たケースもあり、行政などはその対応に頭を悩ませている。
ヒグマの出没例、3パターンとは

当時は開拓が始まって日が浅く、ヒグマとオオカミによる被害が頻発していた。
開拓使や北海道庁による大がかりな駆除政策により、オオカミは完全に絶滅したが、ヒグマは一時減少したもののまた増え出し、現在は数千頭が棲息していると言われ、毎年のように騒ぎが起こっている。
地元の北海道新聞は「ヒグマは見ていた」という表題で特集を組むなど、再三にわたり報道している。その中のひとつ、北海道立総合研究機構の釣賀一二三(つるが ひふみ)研究主幹による「ここ5年間のヒグマの出没研究」が興味深いので、要約して紹介しよう。
まずヒグマの出没例は、
(1)長距離移動する若い雄
(2)老練な成獣
(3)子育てする母グマ
以上の3種類に分けられるとしている。
(1)のケースは2019年夏、札幌市南区や近郊の野幌森林公園(江別市など)に出没した例と、2021年に石狩市方面から石狩川を渡って札幌市東区の住宅街に現れたクマが男女4人を襲った例だ。
それぞれ2歳と4歳の若いクマだった。ともに猟銃で駆除されたが、市街地での猟銃使用は住民の安全確保などから制約があり、対応が難しいのが実際だ。