「電力不足なのにEV増やすな」がどう見ても暴論すぎるワケ
メリット2:高い利便性

エンジン車の場合は自宅で燃料を補給できる人は非常に限られるが、EVの場合は自宅での充電が基本だ。帰宅時にカチッとコンセントを挿すだけで、翌朝には満充電になる。自宅充電を経験した多くのEVオーナーが異口同音に「EVは燃料補給が楽」というのは、至極当然なのだ。
なお、現在のほとんどの住宅には既に200Vの電源が配線されており、戸建てなら数万円程度の工事費で200Vコンセントを追加すれば充電可能となる。集合住宅については管理組合との交渉が必要になるが、これを代行したり、初期費用無料で設置する業者も登場している。月極め駐車場でも近年のEV普及に伴い充電コンセントの設置を認める、あるいは最初から付いている場合も増えており、諦める前に確認してみると良いだろう。
ただし遠出が多い場合は注意が必要で、例えば高速道路のSA/PAに設置されている公共の急速充電器はいまだに出力50kW程度の場所が多く、このような充電器では30分充電しても大よそ100~150km走行分程度しか充電できない。最近になって90kWも登場しているが、それでも30分充電して200~250km走行分程度となる。さらにほとんどの場所で1か所につき1~2台程度しか設置されておらず、週末などは充電待ちが発生することもある。
それでは現時点ではEVは全く遠出に使えないかというと、そうとは限らない。
「300km以上走行するドライバーの過半数が30分以上の休憩をとる」
というデータがあるが、この休憩時間をうまく活用することが重要となる。
例えば航続距離が500kmのEVであれば、途中で30分の休憩と同時に50kWで急速充電することで、最大「500km + 150km = 650km」程度の走行が可能となる。90kWであれば最大「500km + 250km = 750km」に伸びる。
とはいえ、なかには普段の休憩時間がもっと短い、または走行距離が長いドライバーもいるかもしれない。その場合はPHEVを選ぶか、テスラのような出力150kW~250kW程度の独自の「超」急速充電網を整備しているメーカーを選択する、もしくは公共の「超」急速充電器が増えるまで待つのも手だろう。