「電力不足なのにEV増やすな」がどう見ても暴論すぎるワケ
メリット1:安い維持費

エンジン車と比べて、車両価格が高いことを理由に敬遠されることもあるEVだが、その代わりに維持費が安いという点を忘れてはいけない。維持費が安い理由としては自動車税や重量税の優遇措置があるが、これは理由のひとつにすぎない。
一番大きな違いは燃料代で、例えば電気代が1kWhあたり30円で7.5km走った場合、1kmあたりでは「30円 ÷ 7.5km = 4円/km」となる。一方でガソリン代が1Lあたり150円で20km走った場合、1kmあたりでは「150円 ÷ 20km = 7.5円/km」となる。ガソリン価格が高騰している今なら、この差はさらに広がる。
なお、EVの充電費用については深夜電力や屋根置きの太陽光発電を活用するなど、充電方法や充電時間を工夫することでより安価になる。これにより同じ距離を走行するための電気代はガソリン代の半分から3分の1程度に節約可能で、走る距離が長くなるほど維持費の差が広がることになる。
さらに、モーターや蓄電池で構成されているBEVの場合はエンジン車と異なり、エンジンオイルやフィルター、点火プラグなどの消耗する部品がない点が挙げられる。近年の多くのBEVは8年から10年、16万kmから24万km程度の保証が付いており、この間は有料の部品交換を伴うメンテナンスは不要となる。
加えてモーターを発電機として使い、発電しながら減速する「回生ブレーキ」により、従来の摩擦ブレーキ(摩擦を利用して熱エネルギーに変換するブレーキ)の使用が抑えられ、スポーツ走行を行わなければブレーキ関連部品の交換もほぼ必要ない。
従来のハイブリッド車(HV)でも回生ブレーキにより摩擦ブレーキの寿命が延びるとされているが、大きな蓄電池を搭載するEVではさらに広い範囲で回生ブレーキを使えるため、HVよりも摩擦ブレーキの寿命が長くなる。