人口減少の地方都市 中心駅周辺の建物はもはや「高層マンション」が無難なのか

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全国で鉄道駅を核とした拠点作りの構想が行われているが、成功例は数少ない。問題の本質は何だろうか。

2021年3月にリニューアル

太市駅に移転した関西陸運の社屋イメージ(画像:関西陸運)
太市駅に移転した関西陸運の社屋イメージ(画像:関西陸運)

 地元企業が社屋を「駅舎に移転する」という、兵庫県姫路市での取り組みがかねてより話題になっている。実施されたのは、姫路駅から岡山県の新見までを結ぶJR姫新(きしん)線の太市(おおいち)駅。駅舎がリニューアルオープンしたのは、2021年3月で、以前は簡素な待合室と券売機程度だったが、現在では様変わりしている。

 駅舎敷地に民間企業の社屋を建て、その一部を駅の施設として利用している。社屋を移転したのは、地元の運送会社・関西陸運だ。

 姫路市郊外に位置する太市駅は利用者が少なく、駅舎の老朽化が進んでいた。この駅老朽化と周辺地域の活性化を図るなかで生まれたのが、民間企業の社屋を兼ねた駅舎の建設だ。

 関西陸運はもともと駅の北側に本社を構えていたが、商談の利便性などを考えて姫路駅前への移転を考えていた。そうしたなかで浮上した太市駅舎への移転は同社にとってもメリットがあった。

 太市駅北側には、山陽自動車道の山陽姫路西インターチェンジがある。同社が長らく当地に本社を置いていたのは、物流を担うインターチェンジに近いためだった。駅舎へ移転すれば、インターチェンジからさほど離れることなく、かつ、商談や通勤の利便性が増す。この区間の姫新線の列車本数は日中でも1~2本程度だが、使い勝手は悪くない。

 また、駅と社屋が単に合体しただけではない。一階には、同社が運営するレストランを設置し、地元の野菜なども販売するコーナーも作った。さらに、プロジェクションマッピングを実施したり、太市特産のタケノコ販売イベントを開催したりしたことで、京阪神から客が訪れるようになった。

 これは、老朽化している各地の駅舎を復活させる手法のひとつになるかもしれない。