駅員・乗務員への暴力、1年で「400件以上」 おとなしい人が豹変、声をかけたら突然殴打 SNS晒しの危険性も 一体どうしたらいいのか

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日本の鉄道では1年で「400人以上」の駅務員、乗務員が客から暴力を受けている。しかし「昔はもっと多かった」という。

近年はSNSでさらされる危険性も

先日トラブルが発生した山手線・渋谷駅(画像:写真AC)
先日トラブルが発生した山手線・渋谷駅(画像:写真AC)

 昔なら大声でわめいて自分の正当性を周囲に主張するのだろうが、いまやスマートフォンで簡単にその光景をさらすことも可能だ。

 その意図があったかは不明だが、山手線の線路内に財布を落とした客が取ってくれというのに対して、終電後でないと危険で難しいと強く説明する駅員とのやりとり、そして業を煮やしたかその客が非常ボタンを押すという一部始終がさらされた騒動などは記憶に新しいだろう。

 彼も現役当時「“むかつく駅員だ”と、携帯電話で写真を撮られたことがあります」とのこと。いまならガラケーの写メだけでは済まず、SNSや配信アプリでさらされてしまったかもしれない。

「強く言うことはあります。本当に危険ですから。お客さまに何かあったら大変です。安全を思ってのことですが、人はそれぞれですから、難しいですね。思いの強い、真面目な駅員ほどそうなることを経験していますので、プロとして落ち着かなければなりませんね」

 誰もが電車に乗れば、目的地に運んでもらえると、目的地に着くと思っている。その「当たり前」を支えている人たちがいる。それは、支えている人たちにとって当たり前でも何でもなく、支えなければその日常は当たり前でなくなることを知っている。

 私たちの日常の当たり前は、誰かによって支えられている。それを忘れてはならないし、そうした支えてくれる人たちに暴力など言語道断である。近年では鉄道係員だけでなく、駅の清掃や警備、駅店舗のスタッフも理不尽な客のトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たない。

 国土交通省は鉄道係員やその周辺スタッフへの暴力を「カスタマーハラスメント」としているが、これはれっきとした暴行罪であり傷害罪、ケースによっては往来危険罪である。

 現状、警察による注意や不起訴、執行猶予で終わることが大半だが、重大事故にもつながるだけでなく、国家国民のインフラに対しての冒涜(ぼうとく)である。

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