駅員・乗務員への暴力、1年で「400件以上」 おとなしい人が豹変、声をかけたら突然殴打 SNS晒しの危険性も 一体どうしたらいいのか
うち236件が「飲酒あり」
暴力加害者の飲酒の有無に関しては、406件中の236件が「飲酒あり」となり、58.1%を占める。しかし2019年度の356件と比べると減っている。
これもコロナ禍のいわゆる「夜の街」や居酒屋に対する自粛が影響した面もあるのだろうが、2011年度などは上半期だけで飲酒ありが72%だ。彼の証言の通り、暴力を振るっていたのは
「ほぼ酔っぱらい」
だったということになる。2011年度版には具体的事例が載っている。
・自動改札機に乗車券を入れたふりをして出場したお客さまを追いかけて事情を伺おうとしたところ、暴行を受け負傷
・特急券を見せずに乗車しようとしたお客さまに、特急券の提示を求めたところ、突然、左顎を殴打。さらに左足付け根部分を蹴られ負傷
・自動改札の使い方がわからず困っているように見えたので、お客さまのそばに行き、声をかけたところ、突然殴られて負傷
最後の事例などは理不尽極まりない。それにしても、酔客でない暴力客というのもそれはそれで怖い。調査によれば暴力客の年齢構成に突出する世代はなく、ほぼ満遍なく幅広い世代で鉄道係員への暴力がまん延している。
「接客業は皆そうでしょうけど、理不尽なことはたくさんありました。年齢関係なく、いつ何をされるかわかりません。ターミナル駅だと大勢のお客さまがいて、いつ豹変するかわからないのですから」
ほんの一部の犯行、といっても誰ともわからないその一部が駅務員、乗務員個人を襲うと考えれば恐怖である。
まして彼ら鉄道係員はあくまで業務中である。トラブル対応も業務の一環と言われても、わざわざトラブルを作られても困るし、ましてや暴力を振るわれるいわれもない。そもそもが駅構内や電車内は暴れる場所ではない。
7月4日、東急田園都市線の車内で50代の男がドアガラスを割るなど突然暴れだして逮捕されたが、こうしたトラブルが大なり小なり全国の鉄道で起きている。
「おとなしい人が豹変することもあります。遺失物がないとか、券売機がおかしいとか、案内が不親切とか、大声でわめきたててアピールします」