コロナ禍の「出勤者7割削減」要請、結局効果はあったのか? 東大4500人調査で判明した現実との「大きなひずみ」とは
コロナ禍の自粛要請で、人びとによる実際の移動は抑えられていたのか。データから読み解く。
出勤者数の削減目標は「7割」
2020年4月に初の緊急事態宣言が出されて以来、日本では新型コロナウイルス感染拡大への対策として、移動(外出)の自粛が政府により呼びかけられることとなった。
通勤に関しても、テレワークへの転換や交代勤務による出勤者数の削減が要請され、2021年1月の宣言では「7割」の削減が目標として掲げられていた。
このような移動の自粛要請によって、人びとによる実際の移動は抑えられていたのだろうか?ここでは全国調査として、対象者が自らの1日の行動を、場所とともに記録することによって得られたデータから、コロナ禍での実態を探る手がかりを得ることにしたい。
参照データは「日本人の情報行動調査2020」(橋元良明編『日本人の情報行動2020』東京大学出版会(2021年))として、2020年2月に東京大学東京大学情報学府情報学環により、全国3500のサンプル(調査対象者)から得られたものと、同じ研究グループによって2021年1月に全国1000サンプルから得られたものを使用している。
前者をコロナ禍以前の状況を示す比較対象として位置づけながら、後者の結果を中心に見ていこう。