コロナ禍の「出勤者7割削減」要請、結局効果はあったのか? 東大4500人調査で判明した現実との「大きなひずみ」とは

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コロナ禍の自粛要請で、人びとによる実際の移動は抑えられていたのか。データから読み解く。

移動時間さほど減少せず

年齢層別に見た1日における平均の移動時間(分)の変化(画像:是永論)
年齢層別に見た1日における平均の移動時間(分)の変化(画像:是永論)

 図は2020年と2021年それぞれのデータにおける、20歳から69歳の対象者が1日に移動する時間の平均を年齢層別に比較したものである。

 全体としては、2020年の「81.5分」から2021年の「77.3分」に減少しているものの、20代と30代においては、少なくとも減少が認められない結果となった。

 これらの数値を見る限り、新規感染者が1日5000人を超える状況で出された外出自粛の要請にも関わらず、移動自体の大きな抑制は果たされなかったものと見られる。

 一方、40代では10分以上の減少が見られた。なぜ年齢層によってこのような差が見られたのだろうか?

 この調査では移動の目的は直接記録されていないため、多くの人について主な移動の目的が職場への移動(通勤)であると仮定した上で、以降ではいわゆる就労者(非正規雇用を含む)に対象を絞り、さらに細かく実態を見ていこう。

8時台における移動率が高い30代

各時間帯で「移動」をしている人の割合(移動率)(画像:是永論)
各時間帯で「移動」をしている人の割合(移動率)(画像:是永論)

 次の図は各時間帯で、行動の状態が「移動」となっている人の割合を示すものである。

 実線で示された就労者全体における割合をコロナ禍前後で比較すると、7~8時台について2021年(太実線)が8時台でとがった形になっている以外は、2020年(細実線)とは大きな差が見られない。

 しかし、2021年のデータをさらに点線で示された年齢層別で比較すると、30代(破線)の8時台における移動率が突出して高くなっており、2021年での8時台への集中が主に30代によるものと考えられる。逆に50代(点線)は7~8時台の移動率が低くなっている。

 2020年のデータでは、このような時間帯ごとの移動率について、年齢層による差はほとんど見られなかった。7~8時台が多くの場合、出勤の時間であると考えると、先ほどの図で見たようなコロナ過後の移動時間の差には、30代と50代におけるこうした出勤を主とする移動率の差が関連しているものとまず考えられる。

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