藤沢市が「道路境界線」設定ミスで大騒動 対象住宅は取り壊しに、建基法「接道義務」を改めて考える

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神奈川県藤沢市で道路境界線の設定ミスが話題を集めている。藤沢市は住宅の解体・再建築の費用として約2345万円を全額負担すると発表した。

道路境界線の設定ミス

藤沢市役所(画像:(C)Google)
藤沢市役所(画像:(C)Google)

 神奈川県藤沢市で道路境界線の設定ミスが話題を集めている。まず、事件の概要を簡単におさらいしておこう。藤沢市が設定した道路境界線に基づいて、2018年に住宅が建設された。しかし、建設された住宅は道路用地にかかっていることが建設後に判明。法律に違反していることから、取り壊されることになった。

 一連の流れだけを見ると、住宅の所有者が勝手に家を建てたようにも見えるが、当然ながらそんなことはない。藤沢市は、市が管理する市道の道路範囲を誤り、そのままのデータに基づいて指定道路調書をウェブサイトに公開していた。住宅は、その指定道路調書を元にして建てられていた。

 また住宅を含む建物全般は、行政による建築確認という審査をクリアしなければならない。それをクリアしなければ、どんな住宅でも建てることはできない。これらの確認作業は原則として都道府県が所管しているが、人口25万人を超える市は建築主事と呼ばれる担当者を配置して、都道府県から建築確認の業務を移管されている。

 つまり、一連のデータをミスしていただけではなく、確認時にも当該住宅が建築基準法違反であることを見落としていた。これら一連のミスが重なったこともあり、建てられた住宅は建築基準法の接道義務に違反することになった。そのため、いったん住宅を解体して再建築する必要が生じた。

 ここまでの経緯を見れば、住宅所有者にも施工した建築業者にも瑕疵(かし)はない。そのため、藤沢市は解体・再建築の費用として約2345万円を全額負担すると発表した。

 一般的に誰もが通行できる道路は、公道と呼ばれる。しかし、道路・公道の定義は

・道路法
・道路交通法
・建築基準法
・都市公園法

など、法律の種類によって差異がある。

 建築基準法は、原則的に幅員が4m以上なければ公道と認めていない。この4mは道路の端から端までの距離ではない。中心線から、それぞれ対称に2mずつ離さなければならない。そして、敷地の間口が公道に2m以上接していなければ、その区画に新しい建物を建てることはできない。

 この規制が接道義務と呼ばれる。接道義務は、1950(昭和25)年に建築基準法が改正された際に盛り込まれた。

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