ソフトバンクG出資の配車サービス「Grab」はいかにして東南アジア最大のシェアを誇るようになったのか

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東南アジア最大のスーパーアプリ「GRAB」が急成長している。顧客ニーズにマッチしたアプリ開発と、徹底的なローカル戦略が功を奏した。

スーパーアプリ「Grab」とは何か

GrabCarよりも安価なGrabBikeも人気(画像:Grab)
GrabCarよりも安価なGrabBikeも人気(画像:Grab)

 東南アジア最大のスーパーアプリ「Grab」を運営するGrab Holdings Inc(以下、Grab社)は、2012年にマレーシアで誕生し、のちにシンガポールに本社を移した。スーパーアプリとは、さまざまな機能が統合された、あらゆる手続きをすべて完結させることができるアプリを指す。

 同社はこの10年間で急成長を遂げた。東南アジアで最も利用率が高いモバイル配車アプリを運営するほか、配車サービス事業を軸にフードデリバリーや宅配サービス、金融サービス事業などを多角展開している。

 Grabは現在、東南アジア8か国の400都市以上でサービスを展開し、1日の平均乗車回数は4600万人(2019年3月統計)、Grab利用者は1億8700万人(2020年6月統計)に上る。

 また、マレーシアでの本アプリの認知度は94%にもなるという調査結果もある。この利用率と認知度を踏まえれば、東南アジアのモビリティ市場に革命を起こしたといっても過言ではないだろう。

ソフトバンクGの東南アジア最大出資企業

東南アジア8か国で着実に認知度を広めているGrab。資料は2018年のもの(画像:Grab)
東南アジア8か国で着実に認知度を広めているGrab。資料は2018年のもの(画像:Grab)

 東南アジア各国の配車サービス市場におけるGrabのシェア率は高く、インドネシアやベトナム、タイ、シンガポールの各国の市場で半数以上を占めている。

 Grab社は2012年に「My Teksi」としてマレーシアでサービスをスタートした後、2013年には「Grab Taxi」と名称を変更し、フィリピン、シンガポール、タイへと進出した。その翌年にはベトナムやインドネシアに進出し、現在は前述のとおり東南アジア8か国ですでに交通インフラのひとつとして定着している。

 また、Grab社はソフトバンクグループの東南アジア最大の出資企業でもある。同グループが2014年に2億5000万ドル(当時のレートで約330億円)、2019年に14.6億ドル(同約1634億円)を出資したことで話題になった。

 総人口6億人を超える東南アジア市場での同社のポテンシャルに期待する企業は多く、日系企業ではトヨタ自動車や博報堂DYがGrab社と事業提携している。

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