なぜスバルはアセントを「右ハンドル化」せずそのまま日本投入するのか? 特例制度で変わる逆輸入、供給の転換を考える
2026年2月の特例制度施行で加速する米国生産車の「逆輸入」。だがその本質は通商対応の枠を超え、自動車大手の経営戦略のわかれ目となっている。米国仕様のままスピード導入を図るスバルに対し、トヨタは今秋の「カムリ」販売目標1万台に向けて日本仕様への調整を敢行。同じ制度下で二分した戦略から、世界規模で再編される生産体制の未来を見通す。
スピードか調整かわかれる経営判断
今回の逆輸入の本質は、特例制度の適用の是非ではなく、
・特例制度によるスピード化
・既存制度による最適化
をどう使いわけるかという判断のわかれ目にある。米国で生産した車という点は同じでも、最適な方法は企業や車種ごとに異なる。品ぞろえを補いながら早さを重視する場合は特例制度の活用が向く。一方で、一定の販売数が見込め、市場への合い方やブランド戦略を重視する場合は、仕様変更に時間をかけても通常の認証を選ぶ選択が出てくる。
さらに特例制度は、海外メーカーにとっても日本市場へ入る手がかりになり得る。この制度は日本メーカーだけを対象にしたものではなく、米国で生産された車かどうかが判断の軸になる。ロイターの報道によると、ステランティスジャパンの成田仁社長は、日本メーカーの動きについて
「われわれとしても当然ここは商機だと考えている」
と述べている(『ロイター』2026年3月5日付け)。日本市場はこれまで、認証にかかる費用や右ハンドル対応などが負担となり、参入の難しさがあった。しかし特例制度によってその負担が軽くなれば、海外メーカーにとっても日本市場へ入る機会が広がることになる。