率直に問う 自動車は“日本のプライド”であり続けられるか? 出荷額71.6兆円という不動の基幹産業、その価値の行方とは

キーワード :
出荷額71.6兆円、雇用559万人を誇る日本の自動車産業が転換期にある。足元の国内EV比率は過去最高の3.5%を記録したが、世界では価値の源泉がハードからソフトやデータへ急激に移行している。異業種を結ぶハブへの変貌を迫られるなか、培った高い信頼性を新領域へどう活かすか、産業の今後の針路を展望する。

新時代に求められる結合

日本自動車工業会ビジョン2035(画像:日本自動車工業会)
日本自動車工業会ビジョン2035(画像:日本自動車工業会)

 自動車産業は依然として日本経済の中心に位置するが、その持つ意味合いは着実に変化している。車両の製造能力そのものに加え、データやソフトウェア、エネルギーといった外部領域とどう結びつくかが価値を左右する時代を迎えた。「基幹産業」という言葉は固定された属性ではなく、周囲の環境や条件に応じて拡張していく概念として捉え直す局面にある。

 ソフトウェアやデータへ価値が移行する事実は、従来のハードウェア技術が不要になるという二元論を意味しない。むしろデジタル化や通信による常時接続が進展するほど、大容量バッテリーを搭載し、膨大なデータを処理しながら安全に移動するための物理的な基盤の価値は、希少でプレミアムなものとして高まっていく。日本の自動車産業が培ってきたハードウェアの信頼性は、高度なソフトウェアの付加価値を実装するための強固な土台として機能する。

 自動車に求められる価値の源泉が移行し、エコシステム全体が拡大するなかで、ハードウェアの基盤を次なる成長領域といかに結びつけ、新たな時代における日本経済の中心として存在感を発揮し続けていくか。それが今、自動車産業に問われている。

全てのコメントを見る