率直に問う 自動車は“日本のプライド”であり続けられるか? 出荷額71.6兆円という不動の基幹産業、その価値の行方とは

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出荷額71.6兆円、雇用559万人を誇る日本の自動車産業が転換期にある。足元の国内EV比率は過去最高の3.5%を記録したが、世界では価値の源泉がハードからソフトやデータへ急激に移行している。異業種を結ぶハブへの変貌を迫られるなか、培った高い信頼性を新領域へどう活かすか、産業の今後の針路を展望する。

ソフトとデータへの価値移行

OTAのイメージ(画像:BYDジャパン)
OTAのイメージ(画像:BYDジャパン)

 自動車の価値のあり方に大きな変化が起き始めている。従来のハードウェアを中心とした性能から、ソフトウェアとデータへと価値の源泉が移行しているのだ。

 ソフトウェアが車両機能を決定するソフトウェア定義車両(SDV)の普及にともない、通信を通じたOTA(オーバー・ジ・エア)による購入後の継続的な機能アップデートが開発プロセスの前提となった。これは同時に、ハードウェアとソフトウェアの分離開発を意味し、収益構造の変化をもたらしている。新車販売時に利益を確定する売り切り型から、利用期間全体を通じて更新やサービスで収益を得る循環型(リカーリング)モデルへの移行が進む。

 この構造変化を促したのが、中国市場における電気自動車(EV)を中心とする急速な普及だ。2020年9月の国連総会で、中国の習近平国家主席は

「2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」

と表明し、新エネルギー車(NEV)の普及を進めている。新車販売に占めるNEVの割合を2027年までに45%へ引き上げる目標のもと、購入時の補助金支給や税免除、充電インフラ拡充が進められ、通信やデータと常時接続する車両が大量に市場へ投入される背景となった。

 市場環境の変化のなかで中国勢が発揮しているのが、

・「チャイナ・スピード」と称される短期開発
・生成・フィジカルAIを活用した開発サイクルの短縮化

である。車両の価値が馬力や排気量といった機械的要素から、OSの処理能力へと移行したことが背景にある。OTAによる継続的な品質向上が可能なため、出荷時点におけるハードウェアの完成度を従来ほど追求しない傾向が強まっている。

 ソフトウェアの更新を通じて短期間で仕様変更や機能追加を実施できる柔軟な開発環境が求められている。データ活用やユーザー体験の向上が加わり、自動車産業は製造業の枠組みを超え、通信やクラウドと結びつくデジタル産業としての側面を持ち始めている。

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