率直に問う 自動車は“日本のプライド”であり続けられるか? 出荷額71.6兆円という不動の基幹産業、その価値の行方とは

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出荷額71.6兆円、雇用559万人を誇る日本の自動車産業が転換期にある。足元の国内EV比率は過去最高の3.5%を記録したが、世界では価値の源泉がハードからソフトやデータへ急激に移行している。異業種を結ぶハブへの変貌を迫られるなか、培った高い信頼性を新領域へどう活かすか、産業の今後の針路を展望する。

異業種参入が促す新モデル

次世代インテリジェントコックピットのイメージ(画像:吉利汽車集団)
次世代インテリジェントコックピットのイメージ(画像:吉利汽車集団)

 中国市場におけるNEVの普及と充電インフラの急速な拡充は、自動車市場の転換点となっている。現地のメーカーは、開発スピードとAIを駆使したデータ駆動型の開発手法の標準化で差別化を図ってきた。その象徴が、

・ファーウェイ
・シャオミ
・百度(バイドゥ)

といったメガIT企業や家電メーカーによる市場への直接参入だ。各社は車両を巨大なスマート端末と位置づけ、これまでの枠外にあった技術や知見を統合し、新たな水平分業のネットワークを形成している。

 こうした異業種プレイヤーの参入は、クルマづくりにソフトウェア業界の文化を持ち込む結果となった。市場投入後に実際の走行データやフィードバックを得ながら機能を完成へ近づけるアジャイル型の手法が、車両全体に適用され始めている。国内市場の飽和と

「内巻(ネイジュアン)」

と呼ばれる激しい競争環境は、各社を海外市場へと強く駆り立てている。最大手BYDは2025年に世界新車販売460万台(世界6位)に達し、2026年の中国NEV輸出台数は前年比5割増の400万台を超える見通しだ。中国国内の販売成長が鈍化するなか、海外市場への依存度が急速に高まっている。

 同時に、過酷な価格・技術競争は副作用も生み出している。J.D.Powerの2025年「中国初期品質調査(IQS)」によれば、新車の不具合指摘件数は229 PP100へと悪化。特にインフォテインメントや運転支援技術など、スマート化にともなう不具合が急増した。皮肉にも、新エネルギー車への移行が進む中で、初期品質や設計に優れるHVが見直され、ガソリン車販売に占めるHVのシェアが18%へと拡大しているのが実態だ。

 現地の企業群は初期段階での不具合をある程度許容し、販売後の更新によって対策を講じる方針に転換した。スピードと初期品質のトレードオフを成立させる独自の開発構造を推し進めている。

 ハードウェアの完全性だけでなく、ソフトウェア領域を主体とした品質管理手法や、販売後の継続的なアップデートを前提とした市場投入のあり方が、今後のグローバルスタンダードとして広がりを見せつつある。

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