かつては「広大な紡績工場の街」 2路線が交わる足立区中央部が、いちばん契約された街ランキング「14位→4位」に急上昇したワケ

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2025年の賃貸成約データで14位から4位へ躍進した西新井。家賃中央値6万8000円という実需の背景には、日比谷線・半蔵門線直通による移動の効率化と、工場跡地再開発による良質な住宅供給の重なり合いがある。インフラの進歩と都市の供給が足並みをそろえて若者を惹きつける、市場変化の本質を分析する。

西新井4位への急浮上

西新井駅の駅前(画像:写真AC)
西新井駅の駅前(画像:写真AC)

 エイブル総合研究所(東京都港区)は、グループ会社であるエイブルの契約の記録をもとに、2025年に実際に暮らしが始まった東京都内の駅を順位づけし、2026年6月10日にその内容を発表した。世にあふれる「住みたい街」という憧れのランキングではなく、現実に「一番契約された」という実直な記録である。

 この結果で目を引くのが、前年の14位から4位へと一気に駆け上がった足立区の「西新井」だ。家賃の中央値は6万8000円、入居者の年齢をみると中央値は27歳となっている。江戸時代に関東三大師のひとつとされる總持寺(西新井大師)の門前町として栄えた歴史ある地域だが、いま、その景色が変わりつつある。

 日清紡などの工場跡地で行われた開発によって、新しくて綺麗な部屋が次々と世に出ており、これが若い世代の支持を集めているようだ。いわゆる、街全体の高級化が進んで手の届かない場所になったわけではない。ひとり暮らしを始める中間層の、きわめて堅実な需要の厚みが、そのまま今回の順位やエリアの価値に結びついているのだ。

 こうした現実的な選択の裏には、若い働く人たちが住まいに求めるものの変化が透けて見える。家での仕事とオフィスへの出社を組み合わせる働き方が当たり前になったことで、家はただ身体を休めるためだけの場所ではなくなった。働くことと暮らすこと、その両方を心地よく営む拠点へと役割を変えつつある。そうなれば、会社への通いやすさという交通の良さは外せない。けれど同時に、部屋で過ごす時間の長さを考えれば、空間の綺麗さや広さもまた、譲れない条件になってくるのだろう。

 今回の顔ぶれを眺めると、

・1位:葛西(家賃中央値7万円)
・2位:小岩(同6万7000円)
・3位:国立(同5万8000円)
・5位:武蔵境(同6万5000円)

という駅が並ぶ。共通するのは、都心へ出やすい足回りの良さと、日々の買い物のしやすさが程よくまとまっている点にある。西新井もまさに同じ強みを備えているのだが、目を見張るのは、やはり10ランクも順位を上げたその勢いではないか。

 路線のつながりと、手に入る住環境のバランス。その天秤をかけた人々の選択が重なり合うなかで、この街が秘めていた底力が、にわかに表舞台へ躍り出た印象を受ける。

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