なぜ国は「軽タクシー解禁」に踏み切るのか? インバウンド「4270万人」時代、タクシーは“稼げる現場職”に変われるか
ドライバー不足が深刻化するなか、国土交通省は2026年6月から軽自動車タクシーを全面解禁する。運転手数がピーク時から半減する一方、訪日客は4270万人と過去最多を記録。車両コストの低減や担い手拡大につながる軽タクシーは、地域交通と働き方を変える新たな一手となるのか。
インバウンドが招く業界の若返り

今のタクシー業界は、移動の仕組みが立ち行かなくなるほどの人手不足に直面している。軽自動車の導入は、足りない供給を埋める手立てとして期待される。
国の調べでは、ドライバー数は2004年度の42万8303人を境に減少が続き、2013(平成25)年度に法人32万4052人、個人3万8112人だった数は、10年後の2023年度には法人21万7161人、個人2万5693人にまでしぼんだ。背景には高齢化や長時間労働に加え、コロナ禍での客数減が追い打ちをかけ、2019年から年に2万人規模の離職が相次いだ経緯がある。
だが、ここへ来て景色は変わりつつある。2025年のインバウンドが4270万人と過去最多に達し、足となるタクシーへの期待はかつてなく高まった。こうした需要に応えるように、法人ドライバー数は2022年度の21万4972人から2023年度には21万7161人へと、わずかながら増加に転じている。
この動きを支えているのは若い世代だ。東京タクシーセンターの記録では、都内の法人ドライバーの平均年齢はコロナ前より2歳若返った。横浜の三和交通のように平均48歳と業界平均を8歳下回り、20代や30代の応募が止まらない会社も出ている。忙しさが稼ぎに直結する仕組みが整い、タクシーは今、勢いのある仕事へ姿を変えつつある(『日本経済新聞』2026年1月11日付け)。
担い手の確保は、観光の国としての力を強めるだけでなく、街の自由な暮らしを守ることにもなるのだ。