かつては「都心の通過駅」――新宿から1.5kmの小駅が、住みここちランキング「121位→12位」となったワケ

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新宿からわずか2駅、小田急線・参宮橋が「住みここちランキング」で121位から12位へ急浮上した。巨大ターミナル至近でありながら、1日平均乗降人員は1万3182人。速さや再開発ではなく、「混雑を避けられる都心」が新たな価値として選ばれ始めている。

奇跡的な均衡の上に立つ危うい価値

参宮橋(画像:写真AC)
参宮橋(画像:写真AC)

 今回の調査で、回答数46という決して大きくない規模ながら、持ち家層のランキングで8位に食い込んだ点は見逃せない。資産の安定を何より重んじる層が、変化の少ない環境に潜む価値をいち早く見抜いている証拠といえる。

 もっとも、参宮橋の魅力はすべての人に向くものではないだろう。大型の商業施設を好む人には物足りないだろうし、各駅停車しか止まらないもどかしさを感じる人もいるはずだ。しかし、その不自由さがあるからこそ、外からの過剰な流入が遮られる。結果として生まれる一種の選別が、この街の独特な空気を支えている。

 もし今後、さらに鉄道の便がよくなれば、今この街で求められている平穏はあっけなく壊れてしまうに違いない。開発がほどほどで止まっているという、いわば中途半端な状況がもたらす危ういバランス。利便性が完全には満たされていないこと自体が、かえって街を外敵から守っている側面がある。

 便利さと平穏が、互いに譲り合うようにして折り合った贅沢な瞬間。参宮橋の躍進というデータは、そんな都心の奇跡的な均衡を物語っているのではないか。

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