かつては「都心の通過駅」――新宿から1.5kmの小駅が、住みここちランキング「121位→12位」となったワケ
新宿からわずか2駅、小田急線・参宮橋が「住みここちランキング」で121位から12位へ急浮上した。巨大ターミナル至近でありながら、1日平均乗降人員は1万3182人。速さや再開発ではなく、「混雑を避けられる都心」が新たな価値として選ばれ始めている。
鉄道の制約が守る穏やかな日常

各駅停車しか止まらない。この一見すると不都合に思える制約が、今やポジティブな効果を生んでいるようだ。今回の調査結果を眺めると、住まいの満足度を左右する要素として、行政の充実や街の賑わいと並び、人とのつながりを感じさせる
「親しみやすさ」
が大きな意味を持っていることがわかる。
満足度ランキングで上位に並ぶ街、たとえば馬車道などは、都市としての機能と親しみやすさが高度に両立している。参宮橋もまた、その系譜にあるといえるだろう。
新宿からすぐの場所でありながら、駅前に巨大な商業施設はなく、行き交う人の数もどこか落ち着きを保っている。急行が止まらないことで、過剰な人の流入が抑えられ、結果として街の穏やかさが守られているのだ。巨大なターミナルに隣接しながら、生活の場に騒がしさを持ち込ませない。この絶妙な距離感こそが、今の東京において類を見ない価値となっている。
鉄道の利便性をしっかり享受しつつ、都市生活特有のトゲをそぎ落とす。各駅停車というフィルターが、情報の雑音をふっと逃がし、住み手にとっての心地よさを形作っている。