かつては「都心の通過駅」――新宿から1.5kmの小駅が、住みここちランキング「121位→12位」となったワケ
新宿からわずか2駅、小田急線・参宮橋が「住みここちランキング」で121位から12位へ急浮上した。巨大ターミナル至近でありながら、1日平均乗降人員は1万3182人。速さや再開発ではなく、「混雑を避けられる都心」が新たな価値として選ばれ始めている。
低密度な都心居住という新たな贅沢

リモートワークが当たり前になったことで、住まいに求める価値の軸が変わってきた。混雑をうまく遠ざけながら、必要なときだけは即座に都心へ出られる。そんな「自在さ」が、今は何より重宝されているようだ。新宿へは数分、原宿や表参道も生活圏に収めながら、ゆったりとした店舗環境と豊かな緑が共存する参宮橋は、まさにこのニーズに応える存在といえる。
2020年に行われた駅舎の刷新も、この街の性格を強めることになった。木をふんだんに使った温かみのある空間は、都心の喧騒から私生活へと気持ちを切り替えるための、一種の緩衝地帯となっている。
興味深いことに、今回のランキングでは北千束や西ヶ原、東北沢といった、過密を避けるエリアが軒並み順位を上げている。もはや移動時間を分単位で削ることよりも、暮らしそのものの質や、周囲の密度の低さを優先する。そんな都市生活者の意識の変化が、こうした数字からもはっきりと透けて見える。