なぜトヨタ・ホンダ・日産が「ストロングHV」へ舵を切るのか? EV一辺倒からの見直しが進む根本理由
EV一極からストロングHV回帰が進む中、2025年の世界HV市場は1850億→1950億ドルへ拡大。トヨタ・ホンダ・日産が新世代投入を急ぐ背景には、コストとインフラの現実が交差する構造変化がある。
市場が促すHVへの戦略転換

日産自動車は2025年9月、第3世代「e-POWER」を欧州向けの「キャシュカイ」に採用し、市場へ導入した。発電専用エンジン「ZR15DDTe」には、独自のSTARC燃焼技術が盛り込まれ、熱効率42%を達成している。これにより、課題であった高速走行時の燃費を約15%改善した。日産はさらにエンジンの熱効率を50%まで高める目標を掲げ、2026年度には新型「エルグランド」や、同社として初めて北米市場へ投入する「ローグ」にもこの技術を搭載する。
日系各社が同時期に戦略の軸足を移した背景には、EV市場の成長速度が当初の予測に届かなかった実態がある。とりわけ米国において、政策方針の変更にともない排出規制やEV販売目標が緩和された。北米市場ではトヨタ、ホンダ、現代自動車のHVシェアが過去最高水準を記録し、一部の車種では数か月の納車待ちが発生するなど、消費者の選択がHVへの回帰を経済的な側面から支えている。
価格面においても、同クラスのHVに比べてEVの初期費用は平均で1万ドル以上高く、中古車価格が大幅に下落するリスクも表面化した。こうした状況により、メーカーは収益性の高いHVへの投資を強化しやすい。20年以上に及ぶHVの量産実績を持つ日本勢にとって、内燃機関と電動技術の双方を磨き続けてきたマルチパスウェイ戦略は、現在の競争環境において優位性を発揮するための源泉となっている。